南米のタクシーシリーズ第3弾。
かなり前の話なので、今でもそうなのか分からないが、
ボリビア第二の都市サンタクルスのタクシーの多くは、中古の日本の営業車だった。
営業車とは、企業が業務に使う車。
タクシーになっているのはほとんどがワゴンタイプで、「株式会社○○」と社名が入っている。
「なぜ社名を消さないのか」と数名の運転手に訊くと、全員が似たような答えを返してきた。
それは、漢字が書いてあると日本の中古車であることが分かり、
日本車は安全だということで客が増えるというのだ。
そしてもうひとつは、日本の社名が目印となるため車泥棒が盗み難く、
もし盗まれても発見しやすいからだという。
日本の企業は、減価償却が終わった営業車を買い替えることが多い。
しかし、6年落ち程度の車はまだまだしっかりしている。
それらが海外へ売られて行くのだ。
ボリビアは海がないため、中古車はチリへ陸揚げされる。
そこから陸路で運ばれるのだが、ボリビアでは右ハンドルが許されていないとかで、
夕刻に到着する国境近くの街において、わずか一晩で左ハンドルに変える。
これは臨時の修理なので、左右が変わるのはハンドルとペダル類だけ。
メーター類は右側のままだ。
このようにして輸入された日本の中古車は、タクシーだけでなく街中に溢れている。
「○○幼稚園」と書かれた送迎バスが路線バスとして使われていたり、
有名企業の名前が書かれたトラックを見かけたりする。
日本にいると営業車に書かれた社名など気にもしないが、
サンタクルスではそれを追うのが楽しみになる。
ペルーのタクシーの特徴は、積極的に営業すること。
道を歩いていると、背後から「コツコツ」というような音が聞こえる。
これは「タクシーですよ」という合図。
ボディが白く一般車と間違えやすいうえ、ルーフにTAXIの表示のない白タクが多いので、
自らの存在をアピールしているのだ。
この「コツコツ」はクラクションの一種らしいが、本来のクラクションを改造したのか、
それとは別に付けたのかは不明。
もし別に付けたのなら、これは日本の一般車にも役に立つと思う。
歩行者が背後から来る車に気付かず進路を妨害している場合、
正規のクラクションで大きな音を出すより、小さな「コツコツ」で知らせた方がスマートだろう。
またペルーのタクシーは、乗る前に料金交渉をするのも特徴のひとつ。
乗車前に目的地を告げ、運転手が言う値段でOKなら乗る。
そこで値切ることも可能。
しかし、旅行者だと相場が分からずボラれることもある。
利点は、渋滞などで時間が掛かっても、はじめに決めた料金以上払わずに済むことだ。
また地方に行けば、東南アジアのような3輪バイクのタクシーにもお目にかかれる。