前回に引き続き大相撲観戦の話。
幕内の取り組みが始まった頃、ベレスのユニホームを着ている青年を発見した。
アルゼンチンから来た3人組の1人で、日本と韓国を回るのだという。
最近は何かと問題のある日韓関係だが、海外からすればパックツアーのセットコースという扱いだ。
ナイトスポット情報を盛んに訊いてきたが、ホルヘは最近の東京に疎く、あまり役に立たなかったと思う。
アルゼンチン人までいるのだから、ひと目で外国人と分かる観客はたくさんいた。
ひと目で分からない中国人や台湾人、韓国人を合わせれば1割近くが外国人かもしれない。
しかし、そのわりに外国人への配慮がない。
たとえば座席には「東13列72番」などとしか表示されておらず、
自分の席を見つけられずにウロウロしている人がたくさんいた。
京王線は次の停車駅を漢字、ひらがな、ローマ字、中国漢字、ハングル文字で表示している。
それに比べると、国際化の遅れは明らかだ。
相撲人気が高かった以前は連日「満員御礼」で営業努力の必要もなかっただろうが、
今は2階席の半分も埋まらない状況。
積極的に外国人観光客を呼び込むべきだろう。
館内やチケットの表示方法もさることながら、本筋である相撲の情報提供も行いたい。
十両から幕内と取り組みが進むと、仕切りの時間が長くなる。
なにも分からない外国人には退屈なだけだ。
実際に、途中で帰って行く人たちもあった。
ホルヘも、館内専用ラジオの「どすこいFM」を聞いていなければ、最後までいられなかったかもしれない。
そこで提案したいのは、英語、中国語、韓国語での情報サービスを行うこと。
レシーバーを貸し出し、それで各言語でのラジオ放送を聞けるようにする。
FMの3チャンネルが受信できればいいのだから、レシーバーのコストも大したことはない。
1000個も発注すれば、1個当たり1000円を切るのではないか。
それを2000円の保証金を預かって200円で貸し出せば、元手はすぐに回収できる。
アナウンス担当は、日本語を勉強しに来た留学生でもいいだろう。
場所ごとのアルバイトで雇えば、人件費も心配いらない。
1日平均500個のレシーバーが貸し出されれば10万円になるので、バイト代3人分はこれで賄える。
2時から準備し、3時からの十両と幕内の取り組みで放送する
計約4時間のバイトなら、2万円ももらえれば大満足だ。
1日4万円が残るので、25日間でレシーバーの製作代がペイできる。
盗聴器はFMラジオで受信するのだから、アナウンスを発信するのも同様にできるはずで、
機材も1セットが数万円で済むと思う。そんな金額はすぐ回収できる。
実況の内容は、取り組みの両力士の紹介と相撲の歴史やルール、
髷やちゃんこ、部屋の仕組みなどの雑学的なものでいい。
観光客は2度も3度も来ないのだから、内容は毎日同じものでいい。
協会の職員が原稿を作りそれを各言語に訳せば、選手紹介の部分以外は永久的に使える。
これは、本気でグッドアイデアだと思う。