5月23日にひいた風邪が全然治らない。
熱はないものの咳と痰がひどい。
アルゼンチンには韓国人も多く、サンロレンソのスタジアムの近くに韓国人街がある。
彼らは主に、オンセ駅周辺で衣料関係の仕事をしている。
ホルヘはゲボゲボとしつこい咳を繰り返しているので、
「最近アルゼンチンに着いた韓国人と接触しなかったか」と、
MERSではないかと疑われている。
チリで開催中のコパ・アメリカ。
ホルヘは決勝トーナメントから行く予定で、現在は連日テレビ観戦を楽しんでいる。
優勝候補のアルゼンチンは、初戦でパラグアイと激突。
このグループは他にウルグアイとジャマイカで、死のグループと呼ばれている。
しかしW杯準優勝のアルゼンチンは、前回大会準優勝のパラグアイを問題にせず、一方的に攻め込んだ。
アグエロとメッシが決めて前半2-0とし、さらに2~3点は取りそうな雰囲気だった。
ところが後半は両軍ともまるで違うチームとなり、激しい互角の打ち合いを演じた末、2-2の同点で終了。
パラグアイのディアス監督の采配にもよるが、前半と後半でこれほど変化することは滅多にない。
観ていて、非常に得をした気分になった。
アルゼンチンは2回戦でウルグアイに1-0、パラグアイもジャマイカを1-0で下した。
ホルヘは、最近のコパ・アメリカは立派になりすぎたと感じている。
15年ほど前にはあった「ほのぼの感」が失われている。
以前は選手宿舎もそれほど豪華なホテルではなく、プレスはもちろん一般人も自由に入館できた。
ロビーで待っていれば、降りてきた選手のサインをもらったり、記念撮影することも可能だった。
ウルグアイ代表のホテルへ行ったとき、アルゼンチン代表の選手がいた。
彼はイタリアで同じクラブに所属しているウルグアイ代表選手に会いに来ていたのだ。
それを見て、「あ、南米の国体だな」と思ったことを今でもよく覚えている。
ホルヘは昔、毎年国体に顔を出していた。
同じ実業団に所属している選手が、このときは異なる都道府県の代表として参加する。
お互いの宿舎を訪ねることも珍しくなく、競技とは別の部分で選手たちも楽しんでいた。
その雰囲気が、以前のコパ・アメリカにはあったのだ。
競技種目によっては、国体に一流選手は出てこない。
そういえば、ブラジルも2軍で参戦することが多かった。
しかし現在でも、ほのぼの感を失っていない選手がいる。
チリの中心選手にしてユベントスのビダルだ。
フリーとなった2戦目の翌日、門限の午後11時を過ぎても彼は宿舎に戻ってこなかった。
チームメイトが心配しているその頃、彼は愛車のフェラーリで事故を起こして病院へ搬送されていた。
ケガは大したことなかったものの、アルコールが検出されて逮捕され、朝まで警察で拘留されてしまった。
妻とカジノへ行き、そこで飲んだという。
実はビダル、2011年にも規律違反を犯して代表を追放された経験がある。
それに懲りずまたしてこの事態。
しかし幸いにも、サンパオリ監督は今回の件について何の制裁も科さないとのことだ。