旧国鉄時代からの東京の主要ターミナル駅は、上野、東京、新宿ということになると思う。
 
上野は東北、東京は東海や関西、そして新宿は甲信越へと繋がっている。
 
 
 
ブエノスアイレスにも、同じように3つのターミナルがある。
 
北へ向かうレティーロ、西へのオンセ、南へのコンスティトゥシオンだ。
 
しかし、いずれも鉄道は長距離でなく、近郊までの路線となっている。
 
ブエノスでは北に金持ちが住み、南はその逆という構図がある。
 
したがって南からの来た人がたむろするコンスティトゥシオン駅周辺や、そこに発着する列車の中は犯罪が多い。
 
 
 
コンスティトゥシオンからは3路線が出ている。
 
その内のラプラタ方面行に乗り、ひとつ目のアベジャネーダ駅を過ぎると間もなく、左手の線路際にインデペンディエンテのスタジアムが現れる。
 
そしてそのすぐ奥に、ラシンのスタジアムが見える。
 
この二つは、直線距離にして200メートルも離れていない。
 
世界チャンピオンになったこともあるビッグクラブのスタジアムが、これほど隣接しているのは地球上でここだけだ。
 
なぜ、世界遺産に登録しないのだろう。
 
 
 
ホルヘはかねてから、この二つのスタジアムをワンカットに収めたかった。
 
周辺には撮影ポイントとなる高台がなく、列車の車窓から撮るしかない。
 
しかし車内は犯罪が多いので、知り合いのカメラマンなどに相談しても、全員が「やめろ」という。
 
それで、これまで実現しなかった。
 
 
 
ところが昨年、「アルゼンチン忍者」の回で書いた、忍術を修業している警官と知り合いになったことで希望がかなった。
 
彼が警護してくれることになったのだ。
 
もちろん休日を利用しての私服ではあるが、本職が守ってくれるのは心強い。
 
しかも彼は忍術の心得もある。
 
 
 
アベジャネーダを過ぎて撮影し、次の駅で戻りの汽車に乗り換えて再び撮った。
 
そしてそのままコンスティトゥシオンまで帰ろうとしたら、「アベジャネーダで降りるぞ」と忍者警官がいう。
 
何事かわからぬまま彼に従ったが、車内でホルヘをジッと見ていた不審者がいたので避難したとのこと。
 
降りたところを付けてくればさらに怪しいわけだが、不審者(?)はそのまま乗って行ったので、取り越し苦労ではあった。
 
しかし犯罪多発の場では、このような気配りが必要だ。
 
 
 
さて写真のほうだが、撮れたことは撮れたが、インデのスタジアムが近すぎて切れてしまったうえ、
 
改修途中のバックスタンド裏がアップとなり、何だかわからないものになってしまった。
 
 

 
 
ホルヘ・ミム~ラ
ラテンのフットボールを愛し、現在はDieguitoアルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。
取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企てては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。
ヘディングはダメ、左足では蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。
女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。


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ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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