この前の日曜日、ホルヘが指導する少年サッカーチームの試合があった。
 
日本のサッカーは明らかにレベルアップしているのだが、子どもの試合を観る限り、あまりそんな感じがしない。
 
全体的にまとまってはいるが、チームや選手に個性がない。
 
以前のように、抜きん出て目立つ選手もいない。
 
これが、全体的にレベルが上がったということなのだろうか。
 
 
 
しかしそんなことより「時代」を感じたのは、5年生の選手の父親が、昔の教え子だったことだ。
 
ホルヘもジジイになるわけだ。
 
 

 
 
そんなことはさておき、今回はクサヤの話。
 
クサヤとは東京都伊豆諸島の名産品で、トビウオやムロアジを独特の付け汁で加工した干物のこと。
 
この付け汁が曲者で、まるでウンコのような臭いがする。
 
しかしこの臭いが、クサヤ好きにはたまらないのだ。
 
 
 
幼少期を東京の下町に近いところで過ごしたので、クサヤには昔からなじみがあった。
 
近所の家から、クサヤを焼く臭いがしばしば漂っていた。
 
当時は特別好きでもなかったが、高校生のときに八丈島で本場物を喰い、その旨さに目覚めた。
 
 
 
アルゼンチンで仲良くなった1世の日本料理屋経営者が八丈島に縁があると聞き、
 
彼にクサヤを食べさせてあげようと思った。
 
河岸に出入りしている知人に頼み、真空パック入りのクサヤを入手。
 
最近のクサヤは、真空パックされているのだ。
 
そうでなければ、電車などで持ち帰ったら、異臭騒ぎになってしまうだろう。
 
クサヤの立場は年々低下しているようで、マンションはおろか一軒家で焼いても周囲から文句をいわれるらしい。
 
 
 
「これはいい土産を持ってきた」と喜び勇んでブエノスアイレスのエセイサ国際空港に着いたが、
 
そこで突如不安になった。
 
そもそも、こういったモノは持ち込み禁止なのだ。
 
バッグを開けられても、一見して分からないよう厳重に梱包してあるものの、麻薬犬のことを忘れていた。
 
あいつらの嗅覚は、とんでもないと聞いている。
 
「真空パック対麻薬犬」という、「ほこ×たて」みたいなことになってしまった。
 
 
 
税関ではドキドキだったが、無事に通過。
 
考えてみれば、あいつらは麻薬にしか反応しないのだ。
 
クサヤを嗅ぎわけられるなら、赤ん坊のおむつやランドリーバッグに入れた染みつきパンツにも反応して、
 
収集がつかなくなってしまうだろう。
 
 
 
ホルヘ・ミム~ラ
ラテンのフットボールを愛し、現在はDieguitoアルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。
取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企てては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。
ヘディングはダメ、左足では蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。
女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。


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ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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