コパ・リベルタドーレスの決勝戦がやっと終わった。
準決勝が10月30日と31日に行われ決勝のカードが決まった。
その日から12月9日の決勝第2戦まで39日間を要したことで、「史上最長の決勝戦」と揶揄されている。
マドリッドでの対決は、世界中の注目を集めることになった。
ホルヘが願ったのは、「みっともない試合だけはしないでほしい」ということだった。
この大舞台で消極的な凡戦を繰り広げたら、アルゼンチンサッカーが赤っ恥をかく。
ボカのバス襲撃というスキャンダルにより碌でもない国というレッテルは貼られ、「サッカーもつまらない」ということになったら救いようがない。
 
 
しかし、試合はパルティダッソ(好ゲーム)だった。
選手たちもマドリッドということで意気込んだのか、立ち上がりはオーバーペースという感じでガチガチいっていた。
ボカの先制弾、リーベルの同点ゴールはいずれも相手をしっかり崩しての見事なもの。
1-1で延長突入という手に汗握る展開。
リーベルの2点目は見事なシュートだったし、そこからボカが反撃という見せ場もできた。
終了間際のボカのCKでは、GKもゴール前にあがって総攻撃体制。
そこからのカウンターでリーベルが無人のゴールに3点目を決めるといった鮮やかなフィナーレ。
中立のサッカーファンにとっては、楽しみどころ満載の試合となった。
延長開始1分で退場者を出し10人となったことで、ボカサポーターの面目も立つという完璧なものだった。
 
 
南米の大会の決勝、しかもアルゼンチン勢同士の試合をヨーロッパで行うということでサッカー界を騒がせたこの試合だが、同様のことは過去にもあった。
そして、その場は日本だった。
1995年4月9日に国立競技場、1997年4月13日に神戸ユニバー記念競技場でレコパ・スダメリカーナの決勝戦が行われている。
レコパというのは、コパ・リベルタドーレス王者とスーペルコパの覇者が雌雄を決する試合。
スーペルコパは現在行われていないが、歴代のコパ・リベルタドーレス王者によって争われる大会だった。
ちなみに現在のレコパは、コパ・リベルタドーレスとコパ・スダメリカーナの覇者が対戦している。
 
 
95年はコパ・リベルタドーレスを制したベレスとスーペルコパ王者のインデペンディエンテのカード。
ベレスにはFKキッカーのGKとして一世を風靡したパラグアイ代表のチラベルがいたが、試合は1-0でインデの勝利。
97年はベレスがスーペルコパ王者となり、リーベルと対戦。
リーベルはJリーグ初代得点王のラモン・ディアスが監督で、現レアル監督のソラリや元ウルグアイ代表のフランチェスコリ、さらに現リーベル監督のガジャルドらがメンバーだった。
試合は1-1の後PK戦でベレスが勝利した。
 
 
ホルヘは2試合とも取材に行ったが、来日が3日前くらいで、それほどやる気があるようには見えなかった。
「アルゼンチンのチーム同士が、なんで地球の裏側で戦わなければならないんだ」という不満モードが感じられた。
そうしたこともあってか、日本での開催は97年が最後となった。
その後のレコパは、2回アメリカで開催されたものの、基本的にはホーム&アウェイで行われている。
 
 
今回のバス襲撃騒動のように、南米のサポーターは暴力的で、贔屓の引き落としのようなことを平気で行う。
ヨーロッパ王者と南米王者が戦うインターコンチネンタルカップもその影響を受けた。
ヨーロッパ王者が南米での試合に臨むと、地元のサポーターから酷い妨害を受けることが多く、ついにヨーロッパ勢は大会を辞退。
その後、中立地の日本でトヨタカップとして蘇った。
 
 
実はコパ・・リベルタドーレスの決勝戦も、来年からは中立地での一発勝負となることがすでに決まっていた。
来年はチリのサンティアゴで、再来年はペルーのリマ。
今回のような事件が起きたので、開催方法の変更が1年遅かったと考える向きもあるが、果たしてそうだろうか。
アルゼンチンやブラジルのバラスにとって、南米内の都市は国外とはいえ近場だ。
前科によりブラックリストに載っている者は、チェックの甘い陸路で入国するかもしれない。
ホーム&アウェイなら2試合チャンスがあるが中立地なら1回だけ。
それに懸けるバラスのエネルギーは馬鹿にできない。
開催国の警察は他国のバラスの実態を把握しておらず、抑え込むのは難しい。
改善策が裏目に出る可能性は高いのだ。
 
 
リーベルのガジャルド監督は今回の優勝で通算9冠と達成。
ラモン・ディアスと並びクラブ史上最多タイトル獲得監督となった。
これまでは選手時代からのニックネームである「ムニェコ」(人形)と呼ばれるのが普通だったが、最近は「ナポレオン」と称されることが多くなった。
一方、敗軍の将バロスケロット監督は辞任を発表。
敗戦の責任を取るという形ではなく、「しばらく休みたい」という理由。
クラブもこれを了承した。後任には、ペケルマンやブラジルのスコラーリらの名前が挙がっている。
 


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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