3月末に日本を出てから、牛乳をまったく飲んでいない。
嫌いなわけではないものの、必要を感じず買わずじまいだった。
あれば飲んだり使ったりするが、無くても問題ないというものは他にもある。
オーブンがそうだ。
アルゼンチンに着いてすぐ、ピザを焼こうと思い立った。
この国においてピザは国民食のような存在。
凝り性のホルヘは、生地から作ることにした。
どこのスーパーでも、イースト菌が入ったピザ用の粉を売っている。
生地はうまく膨らみ、ハム、ベーコン、トマト、ドライトマト、ピーマン、玉ネギ、
ニンニク、チーズ2種類と具材を贅沢にトッピング。
しかし、オーブンが点かない。
オーブンはガス式で、マッチで点火した後、そのまま20秒くらいツマミを回しっぱなしにする。
するとサーモスタットか何かが働き、完全に火が点く。
しかし、1分待っても火が点かない。ツマミを放すと消えてしまうのだ。
そこでやむなく、フライパンでピザを焼いた。
それでもそこそこ食べられるものに仕上がり、その後も数回フライパンピザを食べた。
数日前停電があり、屋上の貯水タンクが空になった。
それで水道管の中に空気が入り、給湯機が作動しなくなったので、修理屋を呼んだ。
そして、ついでにオーブンも直してもらった。
無ければ無いで不便はなかったが、直ったので早速使うことにした。
こちらは冬だ。寒いときはピザよりグラタンがいい。
ということで、マカロニ・ポテトグラタンを作るため牛乳を買った。
同時期にジム通いを始めたので、トレーニング後のドリンクとしても適している。
最近のニュースに、アルゼンチンの牛乳は世界一高い、というのがあった。
公式レートは1ドル=5.45ペソ。およそ、1ペソが20円といったところ。
アルゼンチンでは1リットルが7ペソから10ペソだが、欧米の主要国は5~7ペソだという。
アルゼンチンの牛乳は、紙パック入りと袋入りがある。
同じメーカーの同じ種類の牛乳でも、袋入りの方が1.5ペソほど安い。
コストが安いので当然だ。そこでホルヘは、節約のために袋入りを買った。
袋の牛乳は、そのままでは封を切った後、倒れてこぼれてしまう。
しかし、専用のケースがある。
これに入れれば、どこでもちゃんと立っている。
こちらでは紙パックのリサイクルはやっていないので、袋の方がゴミも少なくていい。
日本でのリサイクル率がどれほどかは知らないが、そのまま捨てられてしまう紙パックは膨大な量だろう。
アルゼンチンを真似て、素材だけは燃やしても害の無いものにし、袋入りの飲み物を販売してはどうだろうか。