2020年の五輪開催地を決めるIOC総会が、9月4日からブエノスアイレスで開かれる。
 
ホルヘも取材申請を済ませていたので、日本の招致委員会からプレスリリースがメールで届いた。
 
それによると、東京都の猪瀬知事が2日に現地入りし、午前11時半からジョギングを行うとのこと。
 
 
 
当日、ジョギング撮影の前にプレスカードを受け取るため、
 
メイン会場であるホテルの近くに設置されたプレスセンターへ向かった。
 
そこはムヘーレス・アルヘンティーナスという公園の中。
 
事前に地図でチェックしておいたが、多少方向音痴なので、念のために道を尋ねた。
 
相手は、ヘンダルメリーアという国境警備隊員。
 
 
 
教えられた方へ歩いていくと、それらしい広場があった。
 
近くの人に、「これがムヘーレス・アルヘンティーナ公園か」と訊くと、「それは、もっと向こうだ」という。
 
しかし地図で調べた限りでは、そんなに遠いはずがない。
 
これは、どうやら間違っている。
 
そこで目的地を、会場である有名ホテルに変更。
 
すると同じ人が、「それなら、あなたが来た方向に5~6ブロックだ」という。
 
実はホテルも公園も、はじめに道を尋ねた場所のすぐ近くだったのに、

ヘンダルメリーアが教えたのは全くの逆方向だったのだ。
 
 
 
南米でよくあることなのだが、注意しなければならないのは、知らないのに適当に教える人が多いこと。
 
また、街角に立っている警官などがその地域をよく知っているとは限らないことだ。
 
彼らはピンポイントでその場に張り付いているだけで、周囲のことを全然知らなかったりする。
 
過去に何度もだまされたホルヘだが、久々に引っかかってしまった。
 
 
 
プレスカードを受け取り、ジョギングのスタート地点に移動。
 
次は知事が宿泊するホテルの前に移動。
 
そこで待機していた伴走する人によると、知事はジョギング好きで、どこへ行っても着いたらすぐに走るのだという。
 
てっきり招致活動のパフォーマンスかと思ったが、そうでもないようだ。
 
コースは旧ドックである水辺沿いの遊歩道で、観光用の帆船もあり。
 
 
 
南米のサッカーカメラマンは、仕事で走ることが多い。
 
逆サイドでPKになると、カメラ片手にそっちまでダッシュする、なんてこともある。
 
そこでホルヘはその経験を活かし、スタート地点でストレッチなどのアップシーンを撮り、

すかさずダッシュして前方で待ち受けて撮影、そしてまたダッシュで知事を追い越して撮影を何度か繰り返し、

その後別ルートで帆船の前に先回りするという作戦を立てた。
 
他にも大手新聞社や通信社の日本人カメラマンがいたが、彼らはこんなバカなことは考えず、
 
早々とスタート地点を後にして撮影スポットへ向かった。
 
伴走の人に、「ペースはどんなものですか」と尋ねると、「ゆっくりですよ。1㎞6分半くらいでしょう」とのこと。
 
これは、予想以上に早い。このペースでは、ホルヘの作戦は通用しない可能性がある。
 
「さあ、どうしよう。はじめから前に行っていようか」と弱気になっていると、
 
ジョギングが夕方に変更になったとの連絡が入った。
 
これは幸いなこと。
 
作戦を変更し、ブエノスアイレス市が誇る無料貸し出し自転車を利用することにした。
 
自転車なら、楽に知事を追い抜ける。
 
 
 
ところが本番では予想以上に報道陣が多く、知事も彼らに合わせスローペース。
 
カメラマンたちは一緒に走りながら撮り続けている。
 
そして都庁職員の伴走者もいるので、コースがほぼ一杯になった。
 
これによりホルヘの自転車は彼らを抜けず、後ろからノロノロついていく間抜けなことになってしまった。
 
カギがないので、自転車を放置するわけにもいかない。
 
結局、帆船の前を走るカットは撮れず、自転車作戦は大失敗に終わった。
 
 
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ホルヘ・ミム~ラ
ラテンのフットボールを愛し、現在はDieguitoアルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。
取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企てては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。
ヘディングはダメ、左足では蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。
女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。


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ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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