映画好きの先輩からメールが来た。
 
「二番館でジャージーボーイズを観たら素晴らしかった。
 
フォーシーズンズの物語だから、お前も観ろ」という内容だった。
 
フォーシーズンズとはホテルではなく、1960年代にシェリー、
 
恋はヤセがまん、悲しきラグドール、バイ・バイ・ベイビーらを
 
ヒットさせたアメリカのボーカルグループ。
 
リードボーカル、フランキー・バリの裏声で有名だ。
 
 
 
実はホルヘ、高校生の頃はオールディーズに染まったロックンローラーだった。
 
夏休みなどには、ロックンロールの殿堂、原宿のクリームソーダでバイトもした。
 
パフォーマーの聖地となった表参道のホコ天で最初に踊ったのは、間違いなくホルヘたちだった。
 
ラジカセを持ってブラブラ歩いているうちに、「ここで踊ろうか」ということになったのだ。
 
しかし、先駆者には常に障害がつきまとう。
 
踊っていると交番から警官が飛んできて、「踊るな、立ち去れ」という。
 
「歩行者天国だから、いいじゃないか」と反論すると、
 
「歩行者のための道だ。場所を占拠することは許されない」という。
 
たしかに、理屈は通っている。
 
場所を変えて踊っては警官に注意されるを繰り返し、
 
最後は躍りながら徐々に移動するという秘策を編み出して、
 
「占拠してない。踊りながら歩いている」と屁理屈をこねたが、これも認められなかった。
 
結局、ホコ天で踊ったのはこの日だけだった。
 
 
 
ホルヘは一時期、カラオケでもオールディーズを好んで歌った。
 
特にシェリーや悲しき街角などファルセットの歌がお気に入りで、自ら「ミスター裏声」と名乗っていた。
 
先の先輩はそのことを知っているので、フォーシーズンズの映画を観るよう勧めてくれたのだ。
 
 
 
久々に懐かしい名前に出会ったので、YouTubeで聞いてみることにした。
 
はまっていた当時に聞いていたのは、レコードの歌ばかり。
 
映像で見た記憶はほとんどない。
 
それだけに、モノクロ動画が新鮮に感じられる。
 
 
 
フォーシーズンズを一通り聞き、他のオールディーズも探してみた。
 
するとそこで、ものすごい動画を発見。
 
ロネッツのビー・マイ・ベイビーのライブだ。
 
この歌は有名だし歌い方や声も好きだったが、どんな人が歌っているのかは知らなかった。
 
 
 
ヘアースタイルは宇宙人みたいで時代を感じさせるが、
 
ハスキーボイスや絞り出すような歌い方はレコードより数倍いい。
 
そして、メインボーカルのベロニカ・バネットの表情がいい、笑顔がいい、とにかく可愛い。
 
この映像が気に入ったというより彼女に恋をしてしまったようで、毎日何度も見入っている。
 
興味のある方は、下記からどうぞ。
 


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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