1ヶ月ぶりに再開する天皇杯。
ここからはJ1クラブとJ2クラブの対戦が組まれていますが、
その中でも特に古巣対決に燃えているであろう
1人の選手を今回はご紹介したいと思います。
鐡戸裕史、31歳。松本山雅FC所属。
左のウイングバックとして、驚異的なスタミナを武器に
上下動を繰り返すこの男が、今回ホームスタジアムのアルウィンで対峙するのは
2006年8月から2008年まで在籍していたサガン鳥栖です。
佐賀大学のキャプテンとしてチームを九州リーグ1部昇格に導き、
天皇杯にも県代表として出場するなど、
充実のキャリアを送っていた大学4年時の鐡戸。
ただ、自身が目指していたJリーグのクラブからは
セレクションを受けまくるも声が掛からず。
結局、地元の佐賀楠葉クラブでプレーしながら、
夢を追いかける道を選択します。
それでも相変わらずセレクションには合格することができず、
厳しい日々が続く中、2006年8月に一度は不合格を通告された
鳥栖の練習に再び参加。不退転の覚悟で挑んだ結果、
クラブ史上初めての“アマチュア契約”という形で、
念願のJリーガーになることができました。
とはいえ、アマチュア契約なので給料はゼロ。
工場で働きながら生計を立て、チームの練習以外にも
必死にトレーニングを積む日々を続けた結果、
そのシーズンのリーグ戦3試合に出場することができ、
翌シーズンからは晴れてプロ契約選手となったのです。
それから2年間のシーズンでJ2計42試合に出場。
貴重な中盤のハードワーカーとして、
スタメン出場する試合も少なくなく、
その愚直なプレースタイルは
多くのサポーターに受け入れられていた印象があります。
都合2シーズン半の在籍を経て、
2009年からは当時北信越リーグに所属していた松本に加入。
そこからJFL昇格、そしてJ2昇格と
チームの激動期を主力として支えてきた鐡戸。
しかし、昨年ようやくJ2に辿り着いた松本と
入れ替わるようにして鳥栖はJ1へと昇格。
古巣対決が実現することはありませんでした。
今年もそれぞれのディビジョンは違ったものの、
この天皇杯3回戦という舞台で激突することとなった両者。
鐡戸にとってはJリーグへの扉を開いてくれた
思い出のチームとの対戦となります。
もし彼が出場することがあったら、込み上げてくるであろう万感の思いを汲みつつ、
是非その一挙手一投足に注目してみてください。
写真はゴール裏での応援を歓迎しているアルウィンです。