先日は、アルゼンチンの国政選挙投票日だった。
この国では、投票は義務。
投票しないと罰があるというが、具体的にどのような罰を受けるのかは知られていない。
人によって言うことがまちまちだ。
仕事の都合などで登録してある住所に住んでいなくても、400km離れていなければ、
投票のために戻って来なければならない。
400km以上離れている場合は、警察でその証明をしてもらう必要があるという。
日本のように引越しのたびに住民票を移す人ばかりではないので、投票日はちょっとした大移動となる。
今週末はサッカーの試合もなかったが、それは観客のためだけでなく、選手のためでもあったのかもしれない。
投票が義務だというのに、あるいは義務だからこそなのか、日本のような期日前投票制度はないそうだ。
したがって、投票日は多くの店が閉まって閑散とした雰囲気になる。
暇だから昼間から酒を呑もうと思っても、酒類の販売は禁止されているので買えない。
バーやレストランでは、前日の夜10時以降からアルコールは出せない。
酒と選挙と何が関係あるのかと思うが、とにかくそういうことになっている。
投票所は日本と同じく学校が利用される。
しかし日本のように、「投票所は○○小学校」と記された通知が送られてこない。
基本的に投票所は毎回同じだが、区域分けが変わったり新しい学校ができる(あるいは閉鎖される)と、
自分がどこで投票するのかわからなくなることがある。
投票所の入り口には、投票方法の説明書とともに、そこで投票する人の名前が貼り出されており、
まずはそこで自分の名前があるかどうかを確認する。
もっとも最近は、選挙委員会のホームページでも調べられるようになった。
また、あまり早く投票に行かない方がいいという人もいる。
会場で立会人などの要因が足りない場合は、投票に来た人に半ば強引に委ねてしまうそうだ。
そうなると、委ねられた人は投票が終わるまで帰れなくなってしまう。
選挙結果は、クリスティーナ大統領率いる「勝利のための戦線」が第一党の座を守りながらも、
大幅に獲得票を減らせた。
大統領は、二選までという憲法の規定を変えて三選を目指そうとしているが、支持率は急降下中。
今回の結果もそれを反映したもので、このままでは国会での改憲は容易ではないだろう。