みなさま、ご無沙汰しておりました。
非常に長いワールドカップ休みを頂いておりましたが、
再びここで日々の蹴球話を書かせて頂きたいと思っております。
引き続きお付き合い下さいますよう、よろしくお願いいたします。
さて、ドイツの圧倒的な優勝で幕を閉じたワールドカップ以降、
再開したJリーグはもちろんのこと、
相変わらず日々様々なサッカーのある現場に赴き、
色々な刺激をもらってきました。
そんな中で、今回はちょうど1年前にもご紹介した
ある選手のことについてのお話です。
その選手を初めて見たのは昨年の群馬。
感想はとにかく圧倒的!
それもそのはず。その選手の身長は203センチ。
おそらく日本サッカー史上、最も身長の高いフィールドプレーヤーであろう
その選手の名前は畑中槙人。
ガイナーレ鳥取U-18に所属する18歳は、今年も中国地域をしっかり勝ち抜いて、
日本クラブユース選手権の全国大会が行われる群馬に帰ってきてくれました。
あの衝撃以降、ガイナーレ鳥取U-18を取材する機会を
かなり虎視眈々と狙っていたのですが、
なかなかタイミングが合わず、ちょうど1年ぶりとなった再会。
5時に起床して新幹線に飛び乗り、9時キックオフの試合に何とか間に合い、
ピッチへ整列している黄緑の鳥取イレブンを見ると、
しかし畑中の姿が見えません。
メンバー表を見ると、この日はスタメンではなくベンチスタート。
「どうしたんだろうなあ」と思いながら、キックオフの時を迎えました。
鳥取は彼の存在を抜きにしても、かなり良いチームです。
既に2種登録でJ3デビューを果たしている石輪聖人や、
昨年からCBのレギュラーとして活躍している津森大生など
全国でも十分通用するタレントを擁しており、
関東を7位で抜けたジェフユナイテッド千葉U-18とも
互角に近い戦いを繰り広げていました。
ただ、終盤の75分(40分ハーフなので残り5分です!)になってPKで千葉が先制。
この状況を受けて鳥取ベンチが動きます。
ピッチサイドに立ったのは203センチのストライカー。
とうとう畑中が全国のピッチへ帰ってきました。
残された時間は何分もなく、当然チームは彼の頭を狙ったロングボールを放り込みますが、
わかってはいたもののその高さは圧倒的。
競り勝って、競り勝って、何回もチャンスを創出します。
ところが、彼が生み出した最も大きなチャンスは
なんと“頭”からではなく、素早い身のこなしを見せた“足”から。
1年前はようやく身長が止まったばかりで、
まだ体の動かし方にもぎこちなさを隠せなかった彼が
しなやかな動きから、足元でチャンスを創出したワンシーンに
1年間の努力が凝縮されていたような気がしてまだ試合中だったにもかかわらず、
感動してしまっていた自分がいました。
試合後に話を聞くと、大会前に体調を崩したこともあって
この日はベンチからのスタートだったとのこと。
「まだ身長だけで目立っていると自分は思っているので、
もっとプレーで目立ちたいし、ヘディングも絶対コイツには勝てないと思わせるように、
ヘディングは絶対負けてはいけないと思っている」と語る姿からは
すっかり逞しさすら感じることができ、
こうやって高校生は成長していくんだなあと
改めて教えてもらった想いがしました。
「もっと上の舞台でやりたいし、J1とか海外でやるのが夢です」と
最後にキッパリ言い切ってくれた畑中。
私が取材した翌日のゲームではとんでもない打点のヘディングゴールを決めたとのこと。
日本史上最高級の“素材”がこれからどういう成長曲線を描いていくのかは
多くの方に注目して欲しいなあと思います。