静岡弁の指揮官。故郷での新たな挑戦 土屋 雅史 2014年8月12日 土屋雅史, 日本サッカー 先週に引き続き、今回も灼熱の群馬を舞台に行われた 日本クラブユース選手権大会、通称“クラ選”のお話を。 今大会で個人的にどうしても会っておきたい人が自分の中では2人いました。 1人は前回ご紹介したガイナーレ鳥取U-18の畑中槙人君。 もう1人が今シーズンからジュビロ磐田U-18の監督を務めている大木武さんです。 ヴァンフォーレ甲府をクラブ史上初のJ1昇格に導き、 その独特のスタイルでトップディビジョンを席巻。 岡田武史監督政権下では日本代表のコーチも歴任し、 京都サンガでは昇格プレーオフというレギュレーションに泣いたものの、 2シーズン続けて混戦のJ2で3位に入るなど、 そのチーム創りには確かな定評のある大木さんが 今シーズンから率いているのは ジュビロ磐田の高校年代に当たるU-18なんです。 清水エスパルスや川崎フロンターレで 育成年代の指導を経験している大木さんも この年代を本格的に見るのは10年ぶりとのこと。 例えば清水では市川大祐や平松康平、森勇介、 川崎では都倉賢や永木亮太、高山薫らが教え子に当たる彼から見ると、 今の子は「昔に比べたらちょっとおとなしい感じはするね」とのこと。 「清水の時は平松とかいたし、アイツらは中学生だったけど もう少し自分で何か能動的な部分はあったね。 ゼロじゃないけど、それは少し足りないかなという感じはしますね」 とも話してくれました。 大木さんと再会したのは準々決勝。 優勝候補の一角に挙げられていたセレッソ大阪U-18を PK戦の末に下して勝ち上がってきた磐田U-18でしたが、 この日はコンサドーレ札幌U-18に苦戦。 ボールを握る中で前半に1点を取られると、後半は4点を奪われ、結果は0-5の大敗。 ベスト4が行われる三ツ沢陸上競技場行き、 すなわち“群馬抜け”にはあと一歩で届きませんでした。 試合後、お話を伺うと開口一番「完敗だね」と笑った大木さん。 ここ最近は“大人”を指導されていたこともあり、 「久々の“子供”は使う言葉も違うんじゃないですか?」とお聞きすると、 「もうユースはある意味暴言だね(笑) 俺はトップでも結構言うけど、それ以上だね。 また静岡に帰ってきたから、言葉も昔のままの静岡弁だし、 コイツらもそれがわかるから、割とリラックスしてできてるよ。 でも、言うことは同じだね。 今の方が言葉は乱暴だと思います(笑)」 だそうで、確かにベンチからはゲーム展開もあって、 辛辣な言葉が飛んでいたような気がします(笑) 最後に僕が一番聞きたかった質問をぶつけてみました。 「今、楽しいですか?」と。 愚問とは知りながら。 「楽しいよ。面白い!」 即答でした。続けて 「トップが楽しくないわけじゃないよ。 ただ、基本的にどこへ行っても 案外楽しくやれている感じがするので。 スタッフ、選手に助けられて。それは変わらないね」 とキッパリ。 やっぱりこの人は全然変わっていませんでした。 実は大木さんの言語感覚は独特なものがあって、 ある意味非常にリズミカルでポップなんです。 僕はいつか彼をテレビの世界に引っ張り込みたいと思っていましたが、 それはまだまだ先のことになりそうです(笑) 写真はその日の前橋総合です。 Tweet