1か月ほど前のことだが、移民局へ行った際に建物の写真を撮ったら、警官に咎められた。
 
役所などの写真撮影は禁止なのだという。知らなかった。
 
こうした規則で日本と違うのは、ケータイの使用もそうだ。
 
列車やバスの車内、飲食店で使用することは構わないが、銀行の中はダメ。
 
なんでも、銀行強盗を予防するためだとか。
 
一味の偵察が内部の状況を仲間に伝えるのを防ぐためだという。
 
 
 
さて、なぜ移民局へ行ったかというと、それは身分証明書の書き換えのため。
 
書き換えといっても、これまでの証明書に期限はなかった。
 
しかし旧来のブック式からカード式に切り替わることとなり、その手続きのためだった。
 
 
 
カード式への切り替えは2年ほど前から始まった。
 
義務である選挙の投票も、今後はそのカードを投票所へ持っていって行う。
 
莫大な数の証明書を切り替えるので、ショッピングセンターなどにもブースを設け、
 
国民が手軽に手続できるようにした。
 
しかし、こうしたブースで行えるのはアルゼンチン人だけ。
 
外国人は移民局に行かねばならない。
 
 
 
ただ、少なくとも去年までは、選挙の投票に行かない外国人は
 
カード式にする必要はない、といわれていた。
 
そこで、ホルヘはそのまま放っておいたのだ。
 
しかしコロンビアから戻って来たとき空港の入管で、
 
「この証明書は今年一杯で無効になる。早く切り替えろ」といわれた。
 
驚いて調べてみると、確かにその通りだった。
 
 
 
切り替えの手続きをするためには、移民局のウェッブで日時の予約をしなければなない。
 
予約といってもこちらの都合通りにはいかず、あちらが指定したものの中から選ぶだけ。
 
それも、1か月半ほど先になる。
 
 
 
こうしてホルヘは7月16日正午の予約を取り、時間よりやや早めに到着した。
 
しかし予約があるにもかかわらず、およそ50人待ちをしなければならなかった。
 
時間にして約2時間。何のための予約なのか。
 
 
 
しかし順番が来るとすべてがスムーズに行われた。
 
以前だと、写真は別室で撮り、指紋採取ではすべての指が黒い塗料で汚くなった。
 
ところが今回は空港の入国審査と同じ。
 
それぞれの窓口にパソコンと繋がったカメラと指紋採取器があり、
 
「はい、レンズを見て」「人差し指から順にガラスの上に置いて」という指示に従うだけ。
 
そして、手数料の35ペソ(約350円)を払って終了。
 
 
 
噂では、カード式への切り替えは政治家の金儲けが目的だという。
 
カードの発行は民間の企業に委託しており、ここと政治家がつながっているそうだ。
 
全国民およそ4000万人が切り替え、それぞれの手数料から1ペソが政治家に入ったとしても約4億円だ。
 
しかし発行を始めた当時はそうだったかもしれないが、今はそれほど甘くないと思う。
 
それは、インフレがすごいから。
 
今日届いた水道料金の請求書は、なんと3月分の5倍になっている。
 
ガスも3~4倍、地下鉄は約6倍と、生活のベースとなるものまでが激しく値上がりしている。
 
当然すべての商品もそうだし、インフレ率に追いつかないとはいえ労働者の給料も上がる。
 
身分証明書の手数料が開始当時からの据え置きなら、利益どころか赤字になっているはずだ。
 
そう考えると、ホルヘの手数料が悪徳政治家に流れなくてよかったと安心できる。
 
 
 
ちなみにカード式の証明書は1か月以内に郵送されてくるとの説明だったが、
 
これがなかなかその通りにはいかないらしい。
 
まあ、気長に待つとしよう。
 
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About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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