新身分証明書 ホルヘ三村 2014年8月17日 アルゼンチン, ホルヘ・ミム〜ラ, ライフスタイル 1か月ほど前のことだが、移民局へ行った際に建物の写真を撮ったら、警官に咎められた。 役所などの写真撮影は禁止なのだという。知らなかった。 こうした規則で日本と違うのは、ケータイの使用もそうだ。 列車やバスの車内、飲食店で使用することは構わないが、銀行の中はダメ。 なんでも、銀行強盗を予防するためだとか。 一味の偵察が内部の状況を仲間に伝えるのを防ぐためだという。 さて、なぜ移民局へ行ったかというと、それは身分証明書の書き換えのため。 書き換えといっても、これまでの証明書に期限はなかった。 しかし旧来のブック式からカード式に切り替わることとなり、その手続きのためだった。 カード式への切り替えは2年ほど前から始まった。 義務である選挙の投票も、今後はそのカードを投票所へ持っていって行う。 莫大な数の証明書を切り替えるので、ショッピングセンターなどにもブースを設け、 国民が手軽に手続できるようにした。 しかし、こうしたブースで行えるのはアルゼンチン人だけ。 外国人は移民局に行かねばならない。 ただ、少なくとも去年までは、選挙の投票に行かない外国人は カード式にする必要はない、といわれていた。 そこで、ホルヘはそのまま放っておいたのだ。 しかしコロンビアから戻って来たとき空港の入管で、 「この証明書は今年一杯で無効になる。早く切り替えろ」といわれた。 驚いて調べてみると、確かにその通りだった。 切り替えの手続きをするためには、移民局のウェッブで日時の予約をしなければなない。 予約といってもこちらの都合通りにはいかず、あちらが指定したものの中から選ぶだけ。 それも、1か月半ほど先になる。 こうしてホルヘは7月16日正午の予約を取り、時間よりやや早めに到着した。 しかし予約があるにもかかわらず、およそ50人待ちをしなければならなかった。 時間にして約2時間。何のための予約なのか。 しかし順番が来るとすべてがスムーズに行われた。 以前だと、写真は別室で撮り、指紋採取ではすべての指が黒い塗料で汚くなった。 ところが今回は空港の入国審査と同じ。 それぞれの窓口にパソコンと繋がったカメラと指紋採取器があり、 「はい、レンズを見て」「人差し指から順にガラスの上に置いて」という指示に従うだけ。 そして、手数料の35ペソ(約350円)を払って終了。 噂では、カード式への切り替えは政治家の金儲けが目的だという。 カードの発行は民間の企業に委託しており、ここと政治家がつながっているそうだ。 全国民およそ4000万人が切り替え、それぞれの手数料から1ペソが政治家に入ったとしても約4億円だ。 しかし発行を始めた当時はそうだったかもしれないが、今はそれほど甘くないと思う。 それは、インフレがすごいから。 今日届いた水道料金の請求書は、なんと3月分の5倍になっている。 ガスも3~4倍、地下鉄は約6倍と、生活のベースとなるものまでが激しく値上がりしている。 当然すべての商品もそうだし、インフレ率に追いつかないとはいえ労働者の給料も上がる。 身分証明書の手数料が開始当時からの据え置きなら、利益どころか赤字になっているはずだ。 そう考えると、ホルヘの手数料が悪徳政治家に流れなくてよかったと安心できる。 ちなみにカード式の証明書は1か月以内に郵送されてくるとの説明だったが、 これがなかなかその通りにはいかないらしい。 まあ、気長に待つとしよう。 Tweet