アルゼンチンでもNHKのワールドプレミアム(国際放送)を、
 
DIRECTVという衛星放送会社に加入すれば視聴できる。
 
ホルヘはいつも受信機のハードディスクに録画して楽しんでいるが、8月はトラブルでいくつもの番組を見逃した。
 
リモコンのガイドボタンを押すと、テレビ画面に番組表が出る。
 
見たい番組のところで録画ボタンを押せば録画予約となり、二度押せば毎回自動的に録画してくれる。
 
しかし、8月にこの番組表がめちゃくちゃになった。
 
「大相撲春場所」なんていうのが毎日出てくるし、「花子とアン」が「ごちそうさん」になったりする。
 
 
 
大体見る番組は決まっているので、自動録画設定にしているものが多い。
 
しかし番組名が変わってしまえば録画できない。
 
ネットでNHKワールドプレミアムの番組表を見ることはできる。
 
そこで番組をチェックし、タイトルは違っていても、その時間の番組を予約するということも試した。
 
しかし放送の数時間前にタイトルが正しいものに変わり、そのために録画できないことも多々あった。
 
 
 
実は、これは以前から起きている現象。
 
8月や年末年始、さらに選挙前など、特番が多い時期にこうなる。
 
NHKに苦情メールを送ると、「状況は把握しています。DIRECTVに指導していますが、
 
なかなか改善されません」との答え。
 
9月に入り、通常放送に戻ると同時にこの問題は解決した。
 
 
 
ホルヘが毎回見る番組の一つに、「ダーウィンが来た」がある。
 
この前の放送は、アルゼンチンに住むマーラという珍獣だった。
 
15組もの夫婦マーラが、共同の巣穴で子育てをしていた。
 
巣にいるのは子供たちだけで、親は別の場所で過ごす。
 
共同の子育てといっても、仲がいいわけではない。
 
授乳させるときによその子が来ると、荒っぽく追い払う。
 
では、なぜ同じ巣を使うのか。
 
乾燥地でエサが少ないため、親は捕食に時間がかかる。
 
その間、置いてきぼりにされた子供は、巣の周辺で遊んでいる。
 
親は足が速く天敵から逃れられるが、子供は巣穴に逃げ込むしかない。
 
授乳などで巣に戻って来た親は周囲を警戒し、天敵が現れるとサッと逃げる。
 
子供たちは、その動きを見て素早く巣穴に逃げ込む。
 
捕食のため巣を留守にする時間が長くても、同じ場所で複数の親が子育てをすれば、誰かしらが見張り役になれるのだ。
 
 
 
このように自然界とはよくできたものなのだが、たまに理解に苦しむケースもある。
 
アルゼンチンには地面に巣を作る鳥がいる。
 
全長は30センチほどだろうか。
 
この鳥は、地面に卵を産み温める。
 
ゴルフ場でよく見かけるが、木の下や藪の中でなく、フェアウェイのど真ん中に堂々と巣を作っている。
 
ボールを打ちながらやってくるゴルファーは、彼らには卵の破壊屋と映るのだろう。
 
近づくとギャーギャーと鳴いて威嚇し、ときには体当たりの攻撃を仕掛けることもあるという。
 
ホルヘも一度、打ったボールが巣の近くに停まり、親が戦闘モードに入ったため、
 
離れた場所にドロップしてプレーしたことがあった。
 
 
 
地面には天敵が多いし、大雨が降れば水に覆われる。
 
何かの動物に食い散らかされた卵の残骸や、水没して腐ったものを見たことが何度もある。
 
安全な木の上でなく、なぜこんなところに巣を作るのか理解できない。
 
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About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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