前回は大会運営側の不備により、取材パスの取得で苦労したことを書いたが、
 
このコパ・アメリカには、他にも「バカか」と思うようなことがあった。
 
 
 
大きな大会では、プレス用のバスが用意される。
 
他国や地方から来たプレスのため、スタジアムと市内中心地を往復する。
 
チリ対ウルグアイの後、ホルヘはこれを利用することにした。
 
宿まで徒歩10分ほどのイタリア広場まで行くというのだから、これは都合がいい。
 
 
 
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ちなみにこの広場、現在の正式名称はバケダーノ広場だが、以前の呼称が今でも一般的に使われている。
 
このため、地下鉄の駅名はバケダーノで、路線バスの表示はイタリアとなっているなどややこしい。
 
 
 
さらにこの広場は、最近の渋谷ハチ公前のように、何かめでたいことがあると人々が集まる場所となっている。
 
試合後は勝利に酔った市民が詰めかけ大騒ぎとなっていた。
 
交通規制がなされプレスバスは渋滞に巻き込まれた。
 
チリが勝てばこうなるのはわかっているのに、なぜイタリア広場行きにしたのか。
 
まったく、理解しがたい。
 
 
 
結局、広場からかなり離れたところで降りることとなり、そこから宿を目指す。
 
イタリア広場を通って行くのが近道なのでそちらへ歩いていくと、
 
路上には装甲車、放水車などの警察車両が配備されていた。
 
そして、羽目を外した群衆が、それらに瓶や石を投げている。
 
すると突然、放水車が放水を開始。
 
投石していた一団がこちらへ逃げてきたので、放水もそれを追ってくる。
 
あんなものを浴びたら、たまったものではない。
 
無実のホルヘまで、憐れに逃げまどったのだった。
 
 
 
イタリア広場での投石と放水は、過去に何度もニュース映像で流され、チリの名物のようになっている。
 
どうやらこれは、お約束のようなものなのだろう。
 
軍事政権から民主化になると、自由を得た民衆や学生たちが要求を掲げデモをするようになった。
 
彼らに多少の法律違反があっても、警察は以前のようにビシビシ取り締まれない。
 
そこで、放水で対抗、というのが始まりで、いってみれば放水は民主化のシンボル。
 
そのため、石や瓶を投げて放水させているのだろう。
 
夏場には、わざと放水を浴びる猛者もいるに違いない。
 
 
 
さて、今度はスタジアムについて。
 
これは大会運営側の責任ではないのかもしれないが、ナシオナル・スタジアムには邪魔なポールが4本ある。
 
スタンドの観客からすればそれほど邪魔ではないだろうが、カメラマンにとってはとんでもないものだ。
 
防犯カメラの支柱なのだが、それがコーナーフラッグの外側に立っている。
 
もっと外にずらせばいいものを、ゴールラインとタッチライン沿いの広告ボードの内側ときている。
 
カメラマンは広告の外から撮るので、コーナー近くのカメラマンにとっては邪魔でしようがない。
 
ゴール前の攻防を撮ろうとするとかぶってしまう。
 
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東京オリンピックのため建て替える新国立競技場は、屋根をどうするかですったもんだしているが、
 
海外から来たメディアに笑われないよう、報道関係者をはじめ様々な人の意見を聞き、
 
細かなところまで注意を払ってほしいものだ。


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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