おかしなオベリスコ ホルヘ三村 2015年10月2日 アルゼンチン, ホルヘ・ミム〜ラ, ライフスタイル 古代エジプトの記念碑が由来だというオベリスク。 スペイン語ではオベリスコで、ブエノスアイレスにもある。 高さは67.5メートルと有名なワシントンのものより100メートル以上も低いが、 ともに目抜き通りであるヌエベ・デ・フリオとコリエンテスの交差点中央にそびえ立ち、 揺るぎない街のシンボルとなっている。 ここには、何かがあると人が集まる。 ボカが優勝すればボカサポーターが、 リーベルがタイトルを獲得すればリーベルサポーターが集い、喜びを分かち合う。 昨年のW杯決勝後には、敗れたものの群衆が詰めかけ、一部が暴徒化した。 そのオベリスコが、最近少し様子がおかしい。 写真1はいつものオベリスコで、写真2が最近のもの。 どこが違うかおわかりだろうか。 そう、様子がおかしいといった最近のものは、てっぺんの四角錐がないのだ。 そして、数キロメートル離れた場所に頭の部分だけが置かれている。 これは一体、どうしたことか。 種明かしをすると、これは一種の芸術活動。 MALBA(ブエノスアイレス・ラテンアメリカ博物館)という組織が中心となり、 市当局の協力も得たうえで、オベリスコの側面をパネルで延長し、てっぺん部分を囲って見えなくしたのだ。 上部に見える照明の黒いラインから上がパネルで、その重量は3トンにもなるとか。 1年がかりのプロジェクトだという。 頭の四角錐が置かれているのはMALBAの玄関前。 これはもちろんコピーだ。 てっぺんを隠すだけではなく、「なくなった頭はここにありますよ」と洒落っ気を出している。 内部には無料で入ることができ、人々の興味を惹くのは4面に設置された窓。 この窓が液晶画面となっており、実際にオベリスコの上部から撮影された4Kの高画質映像が流されている。 窓枠に鳩が止まっていたりして、本当にてっぺんへ上ったような気になれる。 オベリスコは過去に、世界エイズ撲滅デーに合わせてピンクのコンドームを被せられたこともあるという。 ブエノスアイレスのシンボルに、ずいぶんと大胆なことをするものだ。 これが、国民性というものなのか。 たとえ物理的に可能だとしても、日本では、スカイツリーにコンドームは着けないだろう。 Tweet