マクリ勝利 ホルヘ三村 2015年11月28日 アルゼンチン, ホルヘ・ミム〜ラ アルゼンチン大統領選挙の決選投票が22日に行われ、 与党候補のマウリシオ・マクリが、クリスティーナ・フェルナンデス大統領の後継者である 与党候補ダニエル・シオリを破った。 得票比率は51.40%対48.60%だった。 他の候補者も加わった第1回目の投票では、シオリが1位でマクリが約2.5ポイント差の2位。 決選投票では3位以下の候補の票がほとんどマクリに流れると思っていたが、そうでもなかった。 背水の陣のシオリが行った反マクリキャンペーンの効果があったのだろう。 マクリが嫌いな人はたくさんいるが、ホルヘの知り合いの多くは、 たとえ彼が嫌いでも今回はマクリを支持していた。 このまま行けば国が潰れる、といった危機感が、まともな人たちの中にはあるからだ。 現政権は弱者の味方ということで、補助金や生活保護費をばら撒いている。 これにより働かなくとも生活できる人が急増し、働くより働かない方がいい、ということになってしまった。 ホルヘのゴルフ仲間に、自動車修理工場を経営している日系人がいる。 現在は閉鎖してしまったが、以前プレーしていたゴルフ場の周囲には貧困世帯が多く、 そこの若者がキャディとして働いていた。 その中の1人は特に目を掛けられ、我々が他のゴルフ場でプレーするようになってからも、キャディに呼ばれていた。 そうした関係だったので、修理工場の社長は、仕事が忙しいときに彼をバイトで使っていた。 気さくな人柄だし仕事も熱心。 そこである日、「来月から、正社員にしてやる」と告げた。 すると、翌日から来なくなった。 彼は、両親と3~4人の兄弟と嫁さんと子どもと暮らしている。 みんなが補助金をもらっており、たまにバイトの収入があればそれで充分なのだ。 正社員で登録されると補助金が打ち切られるので、それが嫌で姿を消した。 家族構成にもよるが、働かない方が有利になるケースというのは、本当にあるらしい。 補助金のばら撒きでバカを見ているのは、まともに働いて税金を納めている人々。 だから基本的に反マクリでも、彼に入れることとなる。 ボカの元会長として辣腕を振るったマクリ。 現在でも関係は深く、投票日にはアルアバレーナ監督らと一緒にサッカーに興じていた。 パフォーマンスにせよ、投票日にサッカーとは思い切ったことをするものだ。 当選の翌日の会見では、早速意地悪な質問が飛んだ。 それは、クラブW杯でリーベルを応援するか、というもの。 アルゼンチンの大統領となったからには、アルゼンチンのチームを応援すべきだというのだ。 これに対しマクリは、 「リーベルが優勝したら、それにふさわしい出迎えをする。 でも、私にリーベルを応援しろというのは無理だ」 と、ボカファンとしての姿勢を崩さなかった。 Tweet