このブログの読者の皆さんは、マテ茶が「アルゼンチンを始めとする南米大陸の南東部で愛飲されているお茶のことで、一般的には丸い茶器にボンビージャという金属製のストローのようなものを入れて飲む」ものであることをご存知のことと思います。
実はこのマテ茶、こちらの人たちにとっては単なる飲み物ではなく、毎日の暮らしの中で欠かせない文化のひとつ。と言うのも、マテ茶は家族や友人、またはその場を共にしている仲間たちと「回し飲み」するものだからです。
といっても、例えば職場でみんなで共用できるマテ茶セットがおいてあるというわけではなく、茶器は必ず「誰かの所有物」。人が集まるところでは、誰かが必ずマテ茶のセット(茶器、ボンビージャ、お湯を入れるステンレスボトル、茶葉)を持って来るのが通常となっています。指名されるわけでも、あえて係を決めるのでもなく、ごく自然に誰かが持って来るという習慣があるのです。
さて、それをどんな時にどんなところで飲むのかというと、その答えは「いつでもどこでも」。例えば、私の次女は今大学生ですが、生徒たちは授業中も飲んでいるんだそうで、中には自分のところにも回って来るように、マテ茶を持っている生徒が最前列に座るようにとリクエストする教授もいるとか。授業中に教授と生徒たちが一緒にマテ茶を回し飲みする様子は、なんとなく想像しただけで和やかですよね。
そして「いつでもどこでも」のもうひとつの良い例が、アルゼンチンとウルグアイのサッカー選手たち。控え室や合宿所で飲むのはもちろん、移動中も手放しません。
 
☆代表の合宿所でマテ茶を飲みながらカードゲームを楽しむウルグアイ代表の皆さん


 
 
☆バルセロナで移動中の機内でもマテ茶を持っているスアレス(とメッシ)


 
 
☆遠征先のホテルでマテ茶を飲むカバーニ(とラミレス)

Concentrados en Barranquilla día previo al partido🇨🇴🇺🇾,disfrutando de un buen mate con @gasramirez10

Edinson Cavaniさん(@cavaniofficial21)が投稿した写真 –


 
 
☆アルゼンチン代表で移動中の機内に(ちょっと怒りながら)マテ茶を飲むアグエロとメッシ

Una vez mas esperando en un avion para intentar salir al destino .. Que desastre son los de AFA por dios !!!!

Leo Messiさん(@leomessi)が投稿した写真 –


 
 
 
このように、アルゼンチンとウルグアイの人たちはどこででもマテ茶を飲んでいるわけなのですが、「マテ茶を肌身離さず持ち歩く」のが圧倒的に多いのはウルグアイ人。ウルグアイの街中では、ステンレスボトルと茶器を手に持って歩いている人を必ず見かけます。その持ち方にも特徴があって、このニコラス・ロデイロ(ウルグアイ代表MF、現シアトル・サウンダーズ所属)がやっているように、「ボトルを腕でしっかりと抱え、同じ手で茶器を持つ」というのがウルグアイ式。
 
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この「ウルグアイ式持ち歩き方」を伝授したのが、フランス代表FWのアントワーヌ・グリーズマン。グリーズマンはマテ茶を愛飲していることで知られていますが、そもそもマテ茶を飲むようになったのはレアル・ソシエダ時代のチームメイトでウルグアイ人のカルロス・ブエノの影響。
ブエノが常にマテ茶を持ち歩いて飲んでいるのを見て興味を持ち、ある日「ちょっと飲ませて」と頼んだのだそう。ブエノによると「最初はマテ茶の苦さにびっくりしていたけど、それから毎日自分と一緒に飲むようになった」とのことで、今ではアトレティコ・マドリーでもアルゼンチン人とウルグアイ人のチームメイトを差し置いて(?)マテ茶係となっているようです。
 
☆アルゼンチン人とウルグアイ人の真ん中でボトルを手に貫禄を見せるグリーズマン(ビエットが手にしている茶器はグリーズマンのものでちゃんと「Antoine」と名前が入ってます)

Unos matecitos con la banda 🇺🇾🇦🇷 ! #Familia #NuncaDejesDeCreer

Antoine Griezmannさん(@antogriezmann)が投稿した写真 –


 
 
こちらの動画では、グリーズマンがEURO2016期間中に合宿所で「ウルグアイ式持ち歩き方」を披露し、実際にマテ茶を飲んでいるところが映されています。

 
 
 
それでは、アルゼンチンではどうやってマテ茶を持ち歩くのかというと、専用のバッグに入れる人が多いです。
私の主人はウルグアイ人ですが、いつも重たいカメラバッグを2つ持って移動している都合上、ウルグアイ式の持ち方をしている場合ではないようで、こんな専用バッグを使っています。
 
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片手でボンビージャを入れた茶器とボトルを抱えているだけで「ウルグアイ人でしょ」とわかってしまうという通な持ち方。街のあちこちにマテ茶用の給湯機が設置されているのもウルグアイならではの光景です。
マテ茶はパラグアイやブラジルでも飲まれていて、それぞれの地域で独特の飲み方があり、淹れ方にも一応のルールはあるものの、各自が好きなようにアレンジして気軽に楽しんでいます。型にはまりすぎることなく継がれていく習慣や伝統は、いかにも南米らしいですね。


About The Author

藤坂ガルシア千鶴

マラドーナとアルゼンチンに憧れ、20歳のときに単身でブエノスアイレスに渡ったが最後、結局そのまま定住。大学在学中からサッカー専門誌にコラムを連載し始め、現在もライター活動を続けている。家族はウルグアイ人フォトグラファーの夫、仕事で中東に在住する長女、そして大学で猛勉強中の次女。映画全般、へヴィメタル、格闘技が大好き。明日はどうなるかわからない国アルゼンチンで、ブルース・リーの名言「水になれ」をモットーに気楽に暮らすアラフィフ世代。

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