フランスで起きた日本人女子留学生失踪事件。
その容疑者として、国際指名手配されたのはチリ人だった。
日本とチリが関係する犯罪といえば、2001年に発覚した青森県住宅供給公社を舞台とした14億円横領事件。
横領犯の妻がチリ人のアニータ。
犯人は結婚前から大金を貢ぎ、彼女はその大部分をチリに移して大豪邸を建てたりしていた。
夫の横領を彼女が認識していたという証拠がなかったため罪には問われなかったが、「犯罪の陰に女あり」を地でいったような話だった。
犯人は飲食店のホステスだったアニータと知り合い入れ込んだのだが、どうみても、それほどの美人ではない。
ところが、チリでは評価が違う。
ホルヘがチリへ行くと、「アニータ知ってるか」という質問をよくされる。
経済大国ニッポンで男を手玉に取って大金を稼いだ、ということで喝采されている部分もあるが、ほとんどのチリ人が彼女のことを、「美人だろ」というのだ。
「あんなに綺麗なんだから、日本人が鼻の下伸ばすのも無理はない」と本気でいっている。
どうも、チリと日本では美的感覚が違うようだ。
彼女の顔を知らない人は、アニータ・アルバラードで検索すれば画像が出てくるので、美人かどうか確かめてほしい。
その後アニータはチリで人気芸能人となったが、日本では彼女によってチリのイメージが悪くなった。
 
 
そして今度は、日本人留学生失踪事件でチリ人男性が容疑者となった。
日本では失踪事件扱いながら、フランスの警察は殺人事件と断定している。
これでまた、チリのイメージが悪くなる。
しかし、ホルヘが思うに、チリは南米で最も秩序がある国で、国民も勤勉だ。
民度も高い。
ポイ捨てが少ないので道はきれいだし、交通ルールもよく守られている。
日本向けに輸出しているチリの水産物加工会社から話を聞いたことがあるが、工場では衛生面と品質管理のためにいくつも細かい規則があるという。
日本人としては、そんなことは当然だと思うだろう。
しかしアルゼンチンでも仕事をしていたこの社長曰く、このような細かい規則を設けた工場は、アルゼンチンでは成り立たないそうだ。
真面目なチリ人だからこそ、規則通りに働いてくれるのだという。
サッカーのチリ代表も、ビエルサやサンパオリといった、戦術重視で選手の個を抑える監督が成功している。
つまり国民性が日本と似ているのだ。
 
 
容疑者の男性は、国内で最も優秀といわれるチリ大学を卒業したと報じられている。
チリ大学の現地名はウニベルシダ・デ・チレ。
チリはCHILEと書き、発音はチレ。
そして、ウニベルシダ・デ・チレというサッカーの強豪クラブもある。
現在は独立したクラブだが、元々はチリ大学のスポーツクラブから発展したもの。
スペイン語の定冠詞「LA」とウニベルシダの頭文字「U」を合わせた、LA U(ラ・ウ)がニックネーム。
同じく大学が母体だったウニベルシダ・カトリカとの一戦は「大学クラシコ」、さらにコロコロのカードは、チリのスーペルクラシコと呼ばれている。
 
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ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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