1年後の日本平にあった変わらない“本気” 土屋 雅史 2017年3月17日 土屋雅史, 日本サッカー ちょっと前ですけど、2月25日に2017年シーズンのJ1が開幕を迎えました。 その日、僕が行き先として選んだのはIAIスタジアム日本平。 2年ぶりにJ1へ復帰した清水エスパルスの開幕を見届けるべく、東海道新幹線と東海道本線に乗って、清水の地を目指しました。 もちろん再び帰還したトップディビジョンに挑むエスパルスのリスタートをこの目で見たいという想いや、個人的に親交のある選手が新たに加わったヴィッセル神戸が、名将ネルシーニョ監督の元でどういうサッカーを見せてくれるのかをチェックしたいという想いもありましたが、一番の理由は1年前に味わったあの雰囲気をまた体感したかったからです。 1年前。 ここで「オレンジ軍団のリスタート。『スタジアムの“外”』に感じた本気」というお話を書かせてもらいました。 クラブ史上初めてJ2を戦うこととなった2016年シーズンの開幕戦。 やはり日本平を訪れた僕がとにかく衝撃を受けたのが、スタジアムへと入ってくる選手のバスをサポーターが待ち受け、あらん限りの声で歌うチャントや振り続けるフラッグでその選手たちを鼓舞する、いわゆる“バス待ち”。 沿道だけではなく、丘の上にも溢れているオレンジのサポーターが、全力でエスパルスをサポートする姿を見て、強い感銘を受けました。 思わず近くにいたサポーターの方に色々お話を伺うと、その“バス待ち”に込められた想い、J2での戦いを余儀なくされたシーズンを迎える想い、それでもエスパルスを応援する気持ちは変わらない想いを明かしてくれたんです。 実際にあのサポーターの方にお会いすることが叶わないことは重々承知の上、それでもあのサポーターの方が今年はどんな想いで開幕を迎えるのか、その空気感だけでも自分で知りたいというのが、2年続けて日本平の開幕戦を訪れた大きな要因でした。 1年後。 あの日と変わらない熱気が日本平にはありました。 2年ぶりにJ1へ帰ってきた選手たちを迎え入れるための“バス待ち”態勢は万全。 相変わらず丘の上にも、沿道にも多数のサポーターが溢れかえっており、その時を今や遅しと待ち構えています。 今年も家族連れで“バス待ち”をしていた、あるサポーターの方にお話を伺うことができました。 昨シーズンの1年間のこと、今シーズンにかける想いなど、様々なお話をお聞きしていると、オレンジのバスがスタジアムに入ってきます。 「♪清水エスパルス!」という掛け声と共にサポーターが歌い出す、Jリーグ創成期から変わらないサンバのリズムを刻むチャント。 その空気感は1年前と、あるいはもっと前から続いてきたものと、何ら変わっていないんじゃないかと感じてしまうぐらい、日本平にしかないものだったと思います。 ゲームは0-1で敗れ、開幕戦を勝利で飾ることはできませんでしたが、試合後のサポーターの方々を見ていると、やはりJ1というステージで戦えることの喜びを再確認しているような様子の方が、この試合に関しては大きかったような気がしました。 ただ、1つ残念だったのはJ1昇格にも大きく貢献した河井陽介が、アキレス腱断裂で全治6ヶ月という大ケガを負ってしまったことです。 実は試合前。 “バス待ち”が終わり、スタジアムの中へ戻ろうとしていた私に、色々なお話をしてくださったサポーターの方が「記念にどうぞ!」とプレゼントしてくれたのが、17番の背番号が入った河井のユニフォーム型キーホルダーでした。 嬉しかったなあ。 ああいうことが僕の足をまたスタジアムに向かわせてくれる、大きな理由なんですよね。 河井の復帰はもちろん、キーホルダーを戴いてしまったサポーターの方の、そして1年前にお会いしたサポーターの方の今シーズンが素晴らしいものになるといいなあと思いながら、バスの通行のために封鎖された坂道を一向に上がって来ず、10分で来ると言っていたにもかかわらず、45分後に来ることになるタクシーをいつまでも待ち続けていた日本平の夕暮れ時でした(笑) Tweet