数回前、激しい咳に悩まされていることを書いた。
その咳が一向に治まらず、粘度の強い痰が頻繁に出るようになった。
3週間ほどすると、咳をすると胸がかすかに痛むようになり、やがて痛みは強くなり背中へも広がった。
肺に異常があるのではと、大いに焦った。
 
 
ネットで調べると、この痛みは咳のしすぎによる筋肉痛のようだ。
ということで一安心。
さらに咳や痰の特徴で当てはまる症状を探すと、アレルギー性の気管支喘息がヒットした。
やはり、工事のせいか。
  
 
水漏れで台所とルーフバルコニーを工事することになった。
水漏れの修理なのだが、壁や床をぶち壊して行うので、立派な工事といえる。
そしてこの工事が長かった。
 
 
アルゼンチンらしく、「じゃあ、また明日」といって次の日に来ないことも何度かあったし、毎回少しずつしか進まない。
この業者はマンション管理会社が委託しているので、ホルヘの部屋を直すついでに他の部屋で不具合のあったところにも顔を出し、ようするに掛け持ちで仕事をしている。
 
 
午前中2時間ほど仕事をし、「午後、また来る」といって出て行った。
食事をしてくるのかと思いきや、戻ってきたのは夕方。
そして着替えをし、置いてあった荷物を持って帰っていった。
ホルヘの部屋をベースとして利用していたのだ。
ルーフバルコニーにはスペースがあるので、ベースにするにはうってつけだ。
 
 
進行が遅いのは工事のやりかたのせいでもある。
たとえば台所の床でも、壊したり漆喰のようなものを塗ったり床材を張るといった工程を部分的に行っていく。
こうすれば、工事後に踏んではいけない場所がわずかなので、台所を使用することができる。
オーブンと一体型のガスレンジ裏も工事個所ながら、毎回最後には元に戻していく。
つまり、日常生活ができるような段取りで進めているのだ。
 
 
壁や床を壊すと粉塵が舞う。
初めのうちは、業者が帰るとすぐに拭き掃除をしていた。
しかし、きれいにしても翌日また汚れる。
そこで、工事がすべて終わったらまとめて掃除することにした。
つまり、数週間にわたり粉塵の中で暮らしていたのだ。
これが、筋肉痛まで起こした咳の原因に違いない。
さすがにテーブルや椅子は拭いたが、その他はほったらかし。
毎日、かなりの量を吸い込んだはずだ。
 
 
しかし、業者の人は何ともないのが不思議だ。
霞がかかったような現場で、マスクもせず作業している。
塵肺とかにならないのだろうか。
 
 
先日やっと工事が終了。
それと同時に家中の拭き掃除を開始。
拭いても拭いても雑巾は汚れ、拭いて洗っての繰り返しで雑巾が破れるほどだった。
咳と痰も沈静化に向かい、台所は白系のセラミックで見違えるようにきれいになった。
結局、工事の期間は約1か月。
何をやるにも、南米は気の長いことだ。