アルゼンチンに住み始めて28年になる私ですが、実は国内旅行というものをあまりしたことがありません。
幼少期のトラウマから飛行機が大嫌いで、海外に行く時や仕事でどうしても地方に行かなければならない時以外は極力乗らないようにしている(というか乗りたくない)からなのですが、この度、アルゼンチン北部のメンドーサに行って来ました。
ボカ・ジュニオルスのオフィシャルフォトグラファーを務める夫の友人で、メンドーサ出身の著名ボカ番TVリポーターの紹介から、なんと一般訪問を受け付けていないワイナリーに招待していただく機会に恵まれたのです。
しかもそのワイナリーのブドウ畑の管理責任者が大のボカファンらしく、「是非ご家族でいらしてください!」と熱烈なラヴコールを送ってくるではありませんか。
美容と健康のため(?)に毎晩赤ワインを飲んでいるワイン愛好家として、これほどありがたいボカ絡みのお誘いをお断りするわけにはいきません。
 
 
メンドーサはワインの産地として知られる、アンデス山脈の東側に広がる広大な州。
私の住む首都ブエノスアイレスからは直線距離にして1100kmの位置にあり、空路だと片道約2時間で行くことができます。
近年は温暖化の影響からブドウの収穫量が減少の傾向にあるアルゼンチンですが、もともとはワイン生産国として有名で、つい最近まではイタリア、フランス、スペイン、アメリカに次ぐ世界第5位の生産量を誇っていました。
特にメンドーサは、乾燥した気候と標高の高さ、日照時間の長さなどから上質のブドウを栽培する条件に恵まれていて、国内で作られるワインの約7割の生産量を誇っているのだそうです。
*ウィキペディアにアルゼンチンワインに関する詳しい情報が記載されています

 
 
「メンドーサ」と一言で言っても、ワインが生産されている地域は北部、南部、東部、そしてバジェ・デ・ウコの4つ。
今回招待していただいたのは、このバジェ・デ・ウコと呼ばれる地域のトゥプンガト郡にある「Rutini」(ルティーニ)というワイナリーです。
 

とにかく広いRutiniのブドウ畑。向こうにはまるで絵に描いたように美しい雪化粧のアンデス山脈が見えます 
 
 
海抜1300メートルのトゥプンガト郡に350ヘクタール(!!)ものブドウ畑を所有していて、年間700万本のボトルを生産するというRutiniですが、案内してくれたブドウ畑管理責任者でボカファンのガブリエル・オルティス(通称ペリーコ)さんによると「量が増えても質は絶対に落とさない」というコンセプトを貫いているそう。
Rutiniの専属エノロジスト(ワイン醸造のエキスパート)であるマリアーノ・ディ・パオラ氏はイギリスのワイン専門誌「Decanter」が選出した「世界を代表するエノロジスト30人」の1人に選ばれていて、彼がブドウの栽培から収穫、ワインの醸造、瓶詰めまでの全ての過程を緻密にコントロールすることで、毎年クオリティの高いワインを市場に送り出しているのだそうです。
 


フランス産のオーク樽がずらりと並んだ貯蔵庫の中で、テイスティングのためにRutiniを代表するワインを注いでくれるペリーコさん。ワインの説明をしながらも、リーグ戦開幕直前ということで時々どうしてもボカの話題になってしまうのでした
 
 
テイスティングでいただいたのは赤ワイン3種(マルベック、カベルネ・ソビニョン、ボナルダ)と白ワイン1種(シャルドネ)。
Rutiniがあるバジェ・デ・ウコは、マルベックという赤ワイン用のブドウ品種が多く生産されるところなのですが、アルゼンチンのマルベックは欧州の著名ワイン評論家たちから「原産地のフランスよりも良質」と高く評価されていて、「アルゼンチンワイン=マルベック」と言われるほど代表的な品種となっています。
テイスティングでいただいたマルベックは2014年のもので、昨年、名高いフィンガーレイクス国際ワインコンクールでダブルゴールド賞を受賞したそう。
ベリーの香りが強く感じられるのに味はとてもまろやかで飲みやすかったので、グラスに注いでもらった分を思わず全部飲んでしまいました…。
 

企業関係者や特別なお客様しか訪問できないRutiniのビジターセンター…というより豪邸のリビングルームと言った方がいい素敵なお部屋。
 
 
テイスティングで酔っ払ってしまったあと、ブドウ畑とアンデス山脈を見渡すことができるリビングルームのテラスで焼きたてのエンパナーダ(アルゼンチンのミートパイ)をいただきながら、1885年にメンドーサ北部でワインの製造を始めたイタリア移民の創業者フェリペ・ルティーニの話からボカの話まで、ペリーコさんとゆっくり会話を楽しんで大満足。
エノロジストのディ・パオラ氏はリーベルプレートのファンらしく、私たちが訪れる1週間前にはあのエンソ・フランチェスコリが来たとかで、ペリーコさんはエンソのサイン入りボトルを悔しそうに見せてくれました。
 

締めはスパークリング・ワイン。アンデス山脈を背景に乾杯!
 
 
私たちが訪問したRutiniはプライベート客しか受け付けていませんが、メンドーサには一般の観光客向けのワイナリーがたくさん点在しています。
大規模なものから家族経営の小さなところまで、どのワイナリーにもそれぞれの良さがあり、醸造所見学、テイスティング、ランチ、宿泊もできるロッジなど、様々なオプションを楽しむことができるようになっています。
そこで来週は、今メンドーサで一番人気のあるワインレストランを紹介したいと思います。お楽しみに!


About The Author

藤坂ガルシア千鶴

マラドーナとアルゼンチンに憧れ、20歳のときに単身でブエノスアイレスに渡ったが最後、結局そのまま定住。大学在学中からサッカー専門誌にコラムを連載し始め、現在もライター活動を続けている。家族はウルグアイ人フォトグラファーの夫、仕事で中東に在住する長女、そして大学で猛勉強中の次女。映画全般、へヴィメタル、格闘技が大好き。明日はどうなるかわからない国アルゼンチンで、ブルース・リーの名言「水になれ」をモットーに気楽に暮らすアラフィフ世代。

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