世田谷区の八幡山駅近くの甲州街道沿いに、以前から気になっていた店がある。
La Cocina(ラ・コシーナ)という名前のスペイン料理屋だ。
店主らしき人物の写真が飾られており、それが外国人。
つまり、スペイン人がやっているスペイン料理屋のようなので、一度行ってみたいと思っていた。
 
 
しかしそのあたりを通るのは昼間ばかりで、店はいつも閉まっている。
夜間のみの営業なのか、あるいはすでに潰れているのか。
 
 
ところが、先週の金曜日に前を通ったらオープンしていた。
店先には看板が出され、「デリカテッセン」と書かれてある。
ということは、テイクアウト専門のようだ。
しかし、小さな小さなカウンターと椅子3つがある。
ということは、中でも飲食できるのかもしれない。
 
 
意を決してドアを開け、調理中だった外国人に、「ここは持ち帰りだけか?店内でワインとか飲めるのか」とスペイン語で訊いてみた。
OKだというので、スペイン産のビールを注文した。
  
 
結局ビール2本だけで帰ってきたが、他に客もいなかったので店主のベニートとはかなり盛り上がった。
日本人と結婚し、日本在住は45年だとか。
初めて買った車はホンダのN360だったなんていう話まで出た。
 
 
パエーリャを作っている最中だったので、それについて質問してみた。
アルゼンチンのスペイン料理屋で食べたパエーリャ・ア・ラ・バレンシア(バレンシア風パエーリャ)には魚介類がたくさん入っていた。
そして、バレンシアはマドリッドから最も近い海辺の町なので、“バレンシア風”というのは魚介類を使うのだ、という説明をどこかで聞いた気がする。
 
 
ところが最近読んだdancyuには、パエーリャの発祥地はバレンシアで、そもそもは農民の料理。
したがって食材は畑で取れる野菜とカタツムリ、ウサギなどで、本来のパエーリャに魚介類は入らない、と書いてあった。
 
 
どちらが本当なのか訊くと、danchuが正解とのこと。
しかしウサギが入るのは上等なもので、野ネズミが使われることが多かったそうだ。
もっとも今では魚介類が入るのが普通で、それは料理の進化だという。
「寿司だって、昔と今では違うでしょ」と笑う。
現在の寿司ネタ人気1位はサーモンだというが、ホルヘが子供のころは、サーモンの寿司など見たことなかった。
 
 
ベニートは以前、白金でレストランを開いていたそうで、Jリーグ発足前にはジーコやラモスらがよく来ていたという。
今度はもう少し腰を落ち着けて、その当時のことを聞いてみたい。
 
 
昨日は、市ヶ谷の六番町にあるメソン・セルバンテスに行ってきた。
これはスペイン国営のセルバンテス文化センターの7階にあるレストラン。
料理は旨いが、タパスを数皿取ってメインを食べ、ワインをガブガブいくとそこそこの会計になる。
 
 
しかし、ホルヘは経済的な方法を発見した。
ソパ・デ・アホ(ニンニクスープ)というものがある。
一度食べたいと思っていたので、これを注文。
チョリソなどが入ってかなり旨い。
ただ、塩味が強い。たしか700円だったと記憶している。
 
 
この店はテーブルチャージとして500円取るが、バゲットはおかわり自由とメニューに書いてある。
ソパ・デ・アホの味が濃いので、これがバゲットと実に合う。
タパスを1~2皿とソパを注文して、あとはバゲットのおかわりを繰り返せばメインディッシュは必要ない。
お財布に優しいホルヘミクス、どうぞお試しあれ。
 


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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