住みたい街ランキング上位の常連・吉祥寺。
JR中央線、総武線と私鉄の井の頭線が乗り入れている駅から、南へ徒歩2分に位置するのが井の頭公園。
動物園もある閑静なこの公園は、吉祥寺の人気度アップに重要な役割を果たしている。
 
 
井の頭線沿線に住むホルヘとっても、ここでの思い出は多い。
小学校低学年のころ友人たちと公園に行ったが、帰りの電車賃が足りず、暗くなっても帰宅できなかったことから親たちが大騒ぎになった。
桜の名所としても有名で、酒を飲むようになってからは、毎年1~2回花見をしていた。
酔っぱらって池に飛び込んだこともある。
 
 
その池が、今は「かいぼり」の真っ最中だ。
「かいぼり」とは池の水を抜くこと。
テレ東の人気番組「池の水抜いちゃいました」と同じだが、貸しボートや足こぎスワンがあるほどの池なので、作業は大掛かりだ。
 
 
井の頭池は神田川の源流で、豊富な湧水が江戸市民の飲料水として利用されていた。
この湧水により、かつての池は底が見えるほど透き通っていたそうだ。
しかし近年は湧出量が激減。
このため池の汚染が進んだ。
 
 
井の頭公園は昨年が開園100周年。
これを機に以前の美しい池を取り戻そうと、2015年から隔年でかいぼりが行われ、今年の3回目がとりあえずのシメとなる。
 
 
年末から池を柵で囲い、ボートとスワンを陸揚げしてを排水開始。
そして先週の土日は「かいぼり祭り」なるものが行われた。
ボランティア団体から都庁までさまざまな団体がブースを開き、それぞれのテーマを展示していた。
 
 
またこの両日には、胴長靴を着用した「かいぼり隊」が水の少なくなった池に入り、魚などの水棲動物を捕獲した。
これらを在来種と外来種にわけ、在来種のみを後日池に戻す。
 
 
15年に行われた第1回のかいぼりでは、池の中から自転車など大量のゴミが出てきたが、今回はほぼなし。
さらに第1回で捕獲された生物は、外来種が約8割で在来種は約2割だったが、今回はその比率が逆転したそうだ。
在来種を守るのもかいぼりの重要な目的なので、その点では大きな成果をあげているといえる。
 
 
しかし意外だったのは、鯉が外来種扱いだったこと。
はるか昔に遡れば中国から来た鯉だが、鯉のぼりなど古くから日本人になじみのある魚。
池の鯉に餌をやるのは来園者の楽しみでもあった。
それをなぜ外来種として駆除対象とするのか。
ボランティアの説明によると、池の鯉は天然の原種ではなく観賞用に作られたものの。
そして水質の浄化に必要な水草を食べまくってしまうし、来園者の餌やりが水質悪化につながること。
さらに100年前の井の頭池にはいなかったということで、外来種扱いにしたのだそうだ。
 
 
今後は水を抜いたまま放置し、池の底を天日干しする。
こうすることで土中の窒素が蒸発し、注水後の水が汚染されにくくなるという。
 
 
ブエノスアイレスの日本庭園にも池があり、週末は多くのアルゼンチン人が訪れている。
丸々太った鯉がおり、それへの餌やりは来園者のお楽しみだ。
日本では定番の餌やりだが、アルゼンチンでは非常に珍しいので、大人も子供も熱中している。
しかしそのせいもあり、池の水は汚い。
庭園を管理している日本人会に知り合いがいるので、かいぼりを進言してみようか。
 


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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