10日ほど前だっただろうか、TBSラジオの気象予報士が、「西暦の末尾に8がつく年は、東京に大雪が降る」といい、2008年から1968年までさかのぼってその年の降雪状況を説明していた。
番組のパーソナリティからは、「そんなの単なる偶然でしょ。気象予報士が、そんな非科学的なことでいいのか」と突っ込まれていたが、またしても大雪となった。
半世紀も続くと偶然とは思えない。
10年周期の大雪サイクルというのが存在するのかもしれない。
ちなみに末尾が8の年は、夏も猛暑だか台風だかで荒れるそうだ。
「アルゼンチンに住んでいる」というと、「あちらは暑いんでしょ」とよく聞かれる。
南米=暑いというイメージを持っている人が多いのだ。
たしかに赤道に近い地域は一般的に暑いが、必ずしもそうとは限らない。
赤道直下に位置するエクアドルの首都キトは、標高が2800メートルと高いため涼しい。
第2の都市で海辺にあるグアヤキルも、海風が吹く夜は半袖では寒い。
南極からの寒流・フンボルト海流のせいらしい。
熱帯のガラパゴス諸島にペンギンがいるのは、南極からこの海流に乗ってきたからだという。
アルゼンチンは日本の約7倍の広さで南北に長い。
北部は暑いものの、南極に近い南は寒い。
ブエノスアイレスはちょうど真ん中あたりで四季があり、冬は寒い。
たまに氷点下になることもある。
日本は大陸からの寒気団が入ると気温がグッと下がるように、あちらでは南極寒気団が来ると南風が強まり寒さが厳しくなる。
日本ともっとも違うのは、冬なのに湿度が高いこと。
80%を超すこともあり、冷たい毛布にくるまれたようで芯から凍える。
平地のためか雪はほとんど降らない。
2007年7月7日の独立記念日に、70年ぶりに市内に積雪があった。
このときホルヘはコパ・アメリカの取材でベネズエラにいた。
この国は暑い。
首都のカラカスも暑いが、西部のマラカイボはもっと暑い。
そこですっかり夏バテになっていたホルヘは「ブエノスアイレスに雪」というニュースを聞いて、心からうらやましく思ったものだ。
他に暑い国といえばパラグアイ。
暑さのために人々の生活も変わっている。
みんな朝が早いのだ。
役所やオフィスは7時スタートが普通で、6時から開けているところもある。
涼しいうちに仕事をこなそうという知恵だ。
そして昼か午後1時まで働き、長い昼休みの後に夕方から再開するところもあれば、そのまま終業してしまうところもある。
日本からJAICAのボランティアで来ている人は、まずこのスケジュールに面食らうそうだ。
通信関係の指導をしていたボランティアは、「朝早いのがきつい」とぼやきながらも、「眠そうな顔をしたパラグアイ人を見たことがない」と感心していた。
先祖代々この生活パターンなので、DNAに早起きが組み込まれているのだろう。