5月9日、ボカがアウェイでヒムナシアと引き分けてリーグ優勝を決めた。
この試合は4月29日に行われる予定の第25節だったが、豪雨により延期されていた。
そして5月6日に、第25節より先に第26節のボカ対ウニオンが行われボカが勝っている。
もし雨にたたられず日程通りに消化されていれば、ボカはホームでの勝利によって優勝を飾ることができた。
しかし無念にも優勝決定はアウェイゲーム。
アルゼンチンではいまだにアウェイサポーターの入場禁止が続いているので、ボカサポーターは歓喜の場所に立ち会えなかったのだ。
 
 
今季からスーペルリーガと名称を変えたリーグで、ボカは栄えある初代王者となった。
ボカは昨季に続く2連覇で、昨季中盤から実に514日間に渡って首位をキープしている。
また監督のギジェルモ・バロシュケロットは、ボカの選手と監督の両方で連覇を達成。
これはアルフレッド・ガラシーニ以来74年ぶりのことだという。
 
 
そんな中、インデペンディエンテの試合に行ったホルヘは面白いものを見つけた。
試合前に配られたメンバー表を見ていると、インデのスタッフ蘭に(EA)YAMASHITA URZAIN, Enriqueと(K)HANASHIRO, Sergioと書いてある。
どう考えても日本の苗字だ。(EA)とはEntrenador de Arquero、つまりキーパーコーチで、(K)はKinesiologo(理学療法士)のことだろう。
 
 
ちょうどキーパー練習をしていたので、そこへ近づいて日本人らしき人物を探したが、選手以外に3人スタッフがいて、そのうちの誰なのかよくわからない。
ボールボーイ要員のインデのユース選手にメンバー表を示し、「YAMASHITAってどれだ」と聞くが、2人は知らないと答え、3人目でやっと、「グローブ着けてる人だ」と教えてくれた。
 
 
彼は、一見して日本人とわかる顔立ちではなかった。
そういえば、YAMASHITA URZAINとなっている。
これは二つとも苗字なのだが、最初の姓が父方、次が母方のもの。
つまり、お母さんが日本人でないということだ。
 
 
しかし、そんなことよりもホルヘが以外に思ったのは、なんだかズングリムックリした普通のおじさん風だったこと。
インデといえばコパ・リベルタドレースを最多の7回制し、世界王者にも2度輝いた超名門クラブ。
たとえここまでの名門でないにしろ、アルゼンチン1部リーグのクラブなら、それなりに実績のある元選手をキーパーコーチにするはず。
ところが、全然そんな感じではないのだ。
彼は、一体どのような経歴の持ち主なのだろうか。
 
 
一方、マッサーのHANASHIROさんは精悍な日本人面をしていた。
選手がケガをするとドクターバックを持ってピッチに入り手当を行う。
マッサージ専門のスタッフもいるが、キネシオロゴも常に選手のコンディションを整えるために働いている。
試合中の手当ては、彼らの仕事のほんの一部分だ。
 
 
日本人がこのような形でクラブに貢献しているのは、なにもアルゼンチンに限ったことではないはず。
ブラジルには日系人の医者が多い。
有名クラブのチームドクターを彼らが務めている可能性はありそうだ。
 


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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