カバジェーロ、サルビオ、ファシオ、タグリアフィコ、ロ・チェルソ、ランシーニ。
この6名が何かというと、5月29日行われたアルゼンチン代表の壮行試合ハイチ戦の先発メンバー。
ここにおなじみのオタメンディ、マスチェラーノ、ディ・マリア、メッシ、イグアインが加わったのだが、半数以上の6名が代表歴の浅い選手であったことにサンパオリ色が強く出ている。
南米予選の終盤で不振のチームを引き受けたときは、メンバーの大幅な変更は危険と判断していたが、本大会に向けて改革を断行した。
 
 
相手がFIFAランキング108位ということで、試合は一方的な内容。
ハイチはシュートすら打てず、GKカバジェーロは一度も手でボールを扱うことがなかった。
メッシのハットトリックと1アシストで4-0という結果だった。
 
 
日本はガーナ戦のようにW杯を想定した仮想敵国を招いて力試しの要素が強い壮行試合をするが、アルゼンチンの場合は完全なる景気づけ。
絶対に無様な試合はできないので、いつも極端に格下の相手を選ぶ。
今回はハイチで、その前はトリニダード・トバゴ、南アの時はアルバニアと徹底している。
 
 
代表は試合の翌日にキャンプ地であるバルセロナへ移動。
この際のチャーター機がすごかった。
エアバス340-300のVIP仕様。
通常は約300席のところシートはすべてファーストクラス用でその数90席。
数人掛けのソファも設置されており、選手たちは快適な空の旅を楽しんだようだ。
 
 
当初はキャンプ中に、アルゼンチン人で大のサッカー好きとして知られるローマ法王に謁見する予定を協会が立てていたが、サンパオリの意向で中止された。
もはや臨戦態勢ということだろう。
6月9日にエルサレムでイスラエルと仕上げの試合を行い、そこからロシアへ入る。
 
 
前々回に書いたGKアルマーニは見事23名の最終メンバーに残った。
しかもそれだけでなく、23名発表後に正GKのロメロが負傷で離脱。
一躍レギュラーの可能性が出てきた。
ハイチ戦はガバジェーロだったが、背番号は23番。
背番号1はグスマンがつけているものの、彼は当初の23名に入れず、ロメロの負傷で復活している。
イスラエル戦はアルマーニの先発がすでに決まっているようなので、そのまま本大会のレギュラーにつながるかもしれない。
 
 
ホルヘは、アルマーニと1990年大会のゴイコチェアが重なって見える。
ゴイコチェアは不動の正GKプンピードの陰に隠れた存在だったが、大会中にプンピードが負傷したことで出番が回ってきた。
このときゴイコチェアが所属していたのはコロンビアのミジョナリオス。
アルマーニも長らくコロンビアでプレーして開花した。
 
 
ゴイコチェアはユーゴスラビアとイタリアでのPK戦において2本ずつ止め、アルゼンチンの決勝進出に大貢献。
スーペル・ゴイコと呼ばれ一躍大スターとなった。
アルマーニも売り物は反応の速さによる華麗なセーブ。
世界的には無名な彼が、ひのき舞台で注目を浴びることを期待している。
 
 
さて昨日、ペルーに大朗報があった。
南米予選でのドーピング検査でコカインの陽性反応が出たため出場停止処分を受けていた、代表のキャプテンにしてエースであり屋台骨のゲレーロが、W杯に出場できるようになった。
紆余曲折とは、このケースのことを指す言葉だ。
まずFIFAから暫定処分が下り、その後、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)が14か月という期間を決定した。
ゲレーロ本人は終始意図的な使用を否定し、裁判闘争へ突入。
何者かに飲まされた可能性についても訴え、国際プロサッカー選手会(FIFPro)が彼を擁護、支援するようになった。
 
 
この結果FIFAが処分を6か月に短縮し、5月6日には所属するフラメンゴで試合に復帰。
これでW杯への扉が開かれた。
ところがWADAが異議を唱え、35名の代表リストが発表される直前、スポーツ仲裁裁判所が、処分短縮は無効という決定を下した。
プレスリリース用に代表のユニホームを着て撮影まですましていたゲレーロは天国から地獄に叩き落された。
 
 
しかし彼は諦めず、最後の望みをスイスの連邦裁判所に託す。
その結果、「14か月の処分は軽減されないが、W杯期間中は免除する」という判決を得た。
これにはスポーツ仲裁裁判所も異を唱えないという。
 
 
W杯が終わればまた出場停止が待っているので、本大会では1試合でも多く戦いたいことだろう。 
 


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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