ブエノスアイレスで開催されていたユース五輪は18日に幕を閉じた。
日本勢は金メダル16個、銀メダル14個、銅メダル14個の大活躍。
しかし金が期待されていた卓球の張本と平野は、共に決勝で中国選手に敗れてしまった。
  
 
その決勝戦の前に行われた3位決定戦に出場したアメリカの選手は、ポイントを取るたびに「GO」と叫んで小さくガッツポーズをしながらコーチを見る。
コーチが背後にいれば、振り返ってコーチを見る。
そして銅メダル獲得のポイントを奪うと、ラケットを投げ捨ててコーチに駆け寄り抱き着いた。
コーチにすれば、これほど可愛い選手はいないだろう。
 

 
 
ところが平野はこれと正反対で、ポイントを失うたびにコーチを見る。
そして自分から身振り手振りで、「手首をひねりすぎた」とか「カットがあまかった」というような反省点を伝える。
 

 
 
一方の張本はというと、アメリカ選手と同じように、「チョレイ」と叫んだ後にコーチを見るのだが、毎回というわけではない。
そして中国勢は、ほぼコーチのことを見ない。
 
 
平野はシングルスでほとんどのゲームをリードしていながら、終盤でひっくり返されている。
これはメンタルの弱さが大きな要因だろう。
ポイントを落とすたびにコーチを見るのは、コーチに甘え、頼り過ぎ、依存しているからではないだろうか。
子供のころからコーチだった母親を見ていたため習慣がついてしまったのだろうが、もう独り立ちすべきではないのか。
 
 
中国のコーチもゲームとゲームの間には指示を出し、選手はそれを真剣に聞いている。
決してコーチの存在が薄いわけではない。
中国選手が試合中にコーチを見ないのは、メンタルが強いことはもちろん、選手自身によるゲームマネジメントが行われているからだろう。
 
 
今回のユース五輪で最大の番狂わせといっていいのが、フットサルで日本女子代表が銀メダルを獲得したこと。
フットサルは男女ともブラジルが圧倒的に強いが、今大会は男女両チームの参加は認められなかった。
ブラジルは男子チームを送ったため女子は不参加。
 
 
5チームずつ2グループに分かれてリーグ戦を行い、各グループの上位2チームが準決勝に進んだ。
優勝候補はポルトガルとスペインで、この2か国が全勝してそれぞれのグループ首位となった。
 
 
日本は2位通過し、準決勝でスペインと対戦。
女子フットサルのW杯に相当する世界大会で、スペインは2位2回、3位2回の実績を残している。
グループリーグは4戦4勝39得点5失点。
もはやモンスターである。
 
 
前半、ゴールからボールを常に遠ざけるという守備的戦術を採った日本は、2-8か1-9というポゼッションとなったが0-1のスコアで凌いだ。
そして後半は打って変わって厳しいプレスからボールを奪い、なんと立て続けに3得点を挙げる。
終盤にパワープレーのスペインに1点返されるものの、まさかまさかの大金星。
決勝ではポルトガルに1-4で敗れたが、スペインを撃破したことはフットサル界のビッグサプライズとなった。
 


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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