4月7日現在、新型コロナ患者が0人の国と地域は世界で19か国。
もっともこの中には、絶対に真実を報告していない北朝鮮も入っているので、実際には18か国ということになる。
それらのほとんどは、サモア、トンガ、サロモン、バヌアツ、コモロといった島々。
他国から離れているという地理的要因もあるが、長年に渡って孤島で暮らしている民族は外から侵入してきた菌やウィルスに弱いとかで、早々と厳格な入国制限をしたことが功を奏したらしい。
 
 
無感染国で地理的に意外なのはタジキスタン。
中央アジアの内陸国で、中国をはじめ4か国と国境を接している。
もっともここも独裁国家のようなので、感染情報を隠蔽しているのかもしれない。
しかし、サッカーのトップリーグは行われている。
感染が広がっていれば、普通ならリーグは停止されるはずだ。
もっとも普通でないことはあるもので、欧州のベラルーシでもリーグが続行されている。
5日時点で感染者562名、死者8名ながら通常営業。
人数制限はしているのかもしれないが、写真で見る限りスタンドに観客もいる。
 
 
現在、世界中でほぼすべてのスポーツがストップし、多くの国で外出禁止令が出されている。
家に閉じ込められた人々は、テレビのスポーツ観戦で退屈を紛らわそうとしても、それすら叶わない。
そこに目を付けたのがベラルーシだといわれている。
リーグを続行し、その放映権を他国に売って儲けようというのだ。
日本ではなじみのない同国のサッカーだが、チャンピオンズリーグに参加している有力クラブは欧州では知られている。
しかも欧州内は時差が少なく、どこの国でもリアルタイムで視聴できる。
退屈で退屈で、しかもサッカーに飢えた人々はこれに飛びつく。
さらに各国で行われているネット投票ギャンブルの対象ともなり、そこからも金が入るのでいい商売になるのだ。
 
 
タジキスタンとベラルーシ、そして前々回書いたニカラグアの3か国が、コロナ禍でもトップリーグを続けている。
そして12日からは台湾でも復活する。
アルゼンチンでも多くのファンがサッカーの再開を願っている。
そんな中、テレビの情報番組で面白い一幕があった。
停止中の興行やイベントについてコメンテーターの女性ジャーナリストが、「映画や劇場などの閉鎖はしばらく続きますが、サッカーは早く再開されます」と独自の情報を披露。
続けて、「その場合でも無観客で、さらに選手の密集を防ぐためにFKとCKはなしで行われます」と発言。
たしかに、FKとCKの際はゴール前に選手が集まって、押し合いへし合いひしめき合っている。
この状況を作らないためにFKとCKを廃止するというのだ。
他のコメンテーターは、「FKなしで、どうやって試合をするんだ」「反則は取らないのか」などの疑問を口にして騒然となったが、結局これはフェイクニュース。
それを鵜呑みにした女性ジャーナリストの大失態だった。
 
 
アルゼンチンの外出禁止令は当初3月一杯だったが、それが12日までに延期され、それもさらに延期される模様だ。
銀行はATMとネットバンキングだけで店舗は閉まっている。
公共料金を含め家賃なども支払い遅延は許されている。
高齢者の外出は基本禁止で、必需品の買い物は5ブロック以内、犬の散歩は家の前だけ。
それでも買い物をすれば支出する。
そこで、年金生活者の受給限定で先週末に銀行を開けたが、高齢者が群がって大密接環境を作ってしまった。
 
 
ホルヘの知り合いに、そこそこの資産家の高齢者がいる。
通貨のペソは下落が激しいので、主な現金はドルで所有している。
銀行のドル口座に預けることもできるが、この国は過去にドル預金凍結などを行ったことがあるため、口座に預金ではなく、銀行の貸金庫に保管している。
しかし銀行はずっと閉まったままだし、先週末の業務は年金の支給のみ。
生活レベルが高いため年金だけで賄えるわけもなく、いくばくかのペソ預金も使い果たし、今は知人から借金をして生活しているそうだ。
 
 
これに比べれば日本の外出自粛要請など非常に甘い。
東京で感染者が1000人を超え、1万人に一人の割合となった。
しかし日本は検査数が極端に少ないし、無症状の感染者も多数いる。
となると、実際の感染者は現在の数字の5倍から10倍いてもおかしくない。
10倍だとすれば、1000人に一人が感染者だ。
社交的な人なら、1000人くらいの知り合いはいる。
その知り合いと接触すれば感染の恐れがある。
いや、すでに自分が隠れ感染者かもしれないのだ。
明日にでも発症するかもしれない。
 
 
ホルヘは人見知りなので友人・知人は少ないが、それでも外出すれば人と接触する。
入念に手洗いをしても、ウィルスは衣類などにもついてくるらしい。
となると、ウィルスに強い身体を作るしかない。キ
ノコが免疫力を高めるというので、毎朝、シメジとマイタケ入りの味噌汁を作り、ヤクルトを飲んで腸内環境を整える努力をしている。
 
※写真はイメージです。
via:https://www.bbc.com/news/av/world-europe-52221232/coronavirus-why-are-football-teams-in-belarus-still-playing


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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