コパ・リベルタドーレスの準々決勝で、ボカはウルグアイのナシオナルと対戦。モンテビデオで行われた第1レグは1-1の引き分け。ボンボネーラで行われた第2レグは、早いクロスをスライディングでカットしようとしたカタ・ディアスのオウンゴールにより、20分にナシオナルが先制。ここからのナシオナルはいやらしかった。前線から積極的にプレスをかけ、ボールを奪うと、速攻と見せてはゆっくり繋ぎ、ときには速攻でゴールを脅かす

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テベスの消える時間が多かったボカは大苦戦。しかし72分にパボンがゴールを決めて振り出しに戻す。普通なら、ここからホームチームが勢いに乗り逆転もありえるのだが、この日はそうはならなかった。というのも、パボンがゴール後のパフォーマンスでユニホームを脱ぎ、2枚目のイエローで退場になってしまったからだ。

シャツを脱げば警告というのは、サッカー界の常識だ。しかし、アルゼンチンではシャツ脱ぎのパフォーマンスは普通に行われている。国内リーグでは、累積の出場停止となるのがイエロー5枚と多いため、選手は警告されることを気にしない。そして、フェアプレーの意識も希薄。フェアプレー賞などもらって、何の得があるだと思っている。それよりも、ゴールの感激を派手に表現してサポーターにアピールすることが重要という考えだ。もっとも、すでに1枚もらっていたのに脱ぐのは、間抜けな話だ。

試合は1-1で終了し、PK戦の末ボカが4-3で勝ち上がった。ここではGKオリオンが3本を止める大活躍。ボカは過去に、元コロンビア代表のコルドバと元アルゼンチン代表アボンダンシエリがPK戦でヒーローとなって大会を制したため、「今年もそのときと同じだ」とサポーターは勝手なジンクスで優勝を信じている。

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ベスト16に勝ち残ったアルゼンチン勢は、ボカ、リーベル、ラシン、ロサリオ・セントラル、ウラカンの5クラブ。しかし、ボカ以外はすべて消えてしまった。昨年王者のリーベルは、売り時の選手を放出して戦力ダウン。エクアドルのインデペンディエンテ・デル・バジェという無名のチームに敗れた。

このクラブは首都のキト近郊の街サンゴルキがホームで、創立は1958年。しかしずっと2部と3部を行き来し、6年前に初めて1部に昇格した。おそらくオーナーなり運営母体が変わり、資金をつぎ込むようになったのだろう。ホームスタジアムはわずか8000人収容の小さなものなので、コパ・リベルタドーレスではキトのアタワルパスタジアムを使用している。準々決勝でもメキシコのプーマスに先勝し、まさかのベスト4入りが見えてきた。まさに今回の台風の目。しかしこの成績は高地という地の利があればこそ。もし優勝でもしてクラブW杯に出場したら、かなり悲惨なことになりそうだ。


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ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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