日本がマリと戦った22日のFIFAデー、中南米勢は大活躍だった。
ネイマールを故障で欠くブラジルは、W杯開催国のロシアに花を持たせようともせず、アウェイで情け容赦なく3-0と一蹴。
本番で日本と同グループのコロンビアは、これまたアウェイのパリでフランスを3-2で下した。
これでペケルマン体制になって以降、コロンビアはヨーロッパ勢に5勝2分け無敗という好成績だ。
さらにウルグアイはカバーニのオーバーヘッドシュートなどでチェコを2-0で粉砕。
ペルーもクロアチアを2-0、メキシコはアイスランドを3-0、コスタリカはスコットランドに1-0、そしてメッシ不在のアルゼンチンは、60年ぶりに予選落ちし再起をかける新生イタリアを2-0で下した。
この日、中南米とヨーロッパの対決は、中南米の7戦全勝だった。
しかし、27日はアルゼンチンがどん底に落ちる。
マドリッドで行われたスペインとのテストマッチで、1-6という歴史的敗戦を喫してしまった。
これまでアルゼンチンのワースト記録は、最多失点が6点で最多得点差がマイナス5点。
1958年のW杯スウェーデン大会でチェコスロバキアに1-6で惨敗し、1910年の対ウルグアイで喫した2-6の記録を塗り替えた。
1993年にはW杯予選のホームゲームでコロンビアに0-5、マラドーナ監督時代にもW杯予選でボリビアに1-6で敗れており、今回はそれと並ぶ失態だった。
もっとも、スペインにとってこれは絶好のリベンジの場だった。
2010年W杯南ア大会優勝直後、スペインはアルゼンチンでのテストマッチに招待された。
アルゼンチンは、マラドーナからバティスタに監督が変わったばかりでチームはバラバラ。
スペインの楽勝かと思われたが、結果はアルゼンチンの4-1。
世界王者にとって、このスコアは屈辱的なものだった。
22日には、中国でもウェールズを招いての国際マッチが行われた。
結果は6-0でウェールズの勝利。
しかしこの試合は、他のことでも注目を集めた。
それは、刺青の露出禁止だ。
ヨーロッパや南米ではタトゥーを入れる選手が多く、それは中国にも広がっている。
彼らはファッションとして入れているのだから、腕に入れてあるのなら、多少寒くても半袖を着て人目に触れるようにしたい。
実際に、リーグ戦では半袖の刺青選手が多い。
しかしこの代表戦では露出禁止令が出て、タトゥーを入れている選手は長そでを着たりテープで覆わなければならなくなった。
明確な理由は説明されていないものの、中国では刺青は犯罪者に施した罪人の印という歴史があり、それをファッションとする欧米化は不適切という政治的判断と思える。
憲法を変えて長期政権の道を歩み出した権力者の習近平なら、これくらいの命令は出しかねない。
さらに邪推すれば、さほど強くないウェールズに大敗したのは、選手がこの横暴に抵抗を示したからとも考えられる。
習近平やプーチンは、巨大な権力を握っている国家元首だ。
国家元首つまり大統領というと、元サッカー界のスーパースターだったジョージ・ウェアが、先ごろ母国リベリアの大統領になったことが話題となった。
彼ほどではないにしろ、世界にはサッカー通の大統領がいる。
アルゼンチンのマクリもそうで、今でもプレーを楽しんでいる。
東アフリカの内陸に位置する小国ブルンジ。
お定まりの民族紛争や内戦を経験し、現在も危険な火種を抱えている。このように不安定な国では、大統領は自らの身と座を守るために強権を発動する。
ンクルンジザ大統領も例外でなく、憲法で禁止されている3選に向けて突き進んでいるそうだ。
彼は大のサッカー好きで、ハレルヤFCというアマチュアチームの選手として大会に参加している。
大統領は不動のエースストライカーとして9番を背負い、これまで多くの得点を挙げてきたという。
しかしキエンブラという町のチームと対戦したときは勝手が違った。
それまでの試合では、相手チームが大統領に敬意を払ってか恐れてか、マークもせずにほぼ自由にプレーさせていた。
しかしキエンブラはそうせず、普通のライバル選手と同じようガチガチ当たっていった。
怒った大統領は、このチームの監督とコーチを「大統領に対する陰謀罪」で逮捕して刑務所にぶち込んでしまった。
なんともめちゃくちゃな話だが、権力者には忖度せよというのは世界共通のようだ。