史上初の雪による中止・順延となった
第91回高校サッカー選手権大会の決勝。
私も当日はワクワクした気持ちを抑えきれずに到着した
都営大江戸線の国立競技場駅で中止を知りました。
正直、僕が高校3年時だった第76回大会決勝の東福岡対帝京や、
故・平木隆三氏が「マジェール!!!!」と絶叫した
トヨタカップのポルト対ペニャロールなど、
“雪の国立”の記憶もあったので、中止になるという発想はなく、
「こんな中でやるはずないでしょ」という家族の至極全うな意見に対して、
「わかってないなあ。サッカーは雪でもやるんだよ」というサッカー脳全開の
発言を偉そうに言い残して家を出たにもかかわらず、
結果として己の常識判断のなさを思い知らされました(笑)
選手たちに話を聞いてみると、
「両校優勝の可能性も出てきたと聞いたので、
それだけはチーム全体としてもイヤだなあとみんなで話していました。
決着を付けて優勝したいと思っていたので、
延期が決まってとても嬉しく思います」
(鵬翔・矢野大樹キャプテン)
「両校優勝は絶対にイヤだというのはチーム全体の話としてあったんで、
勝負で決着を付けるというのはみんなモチベーションも上がりましたし、
よかったという話はしました」
(京都橘・小屋松知哉)
と、やはりしっかりと決着を付けたかった様子。
矢野キャプテンは「ちょっと雪の中でやってみたかった」と笑ったものの、
基本的にはどの選手もいいピッチコンディションで
仕切り直せることを喜んでいたのは間違いありません。
ただ、両校の監督は共に複雑な事情を吐露。
まず、経済的な問題があります。
結果的に京都橘は関東近郊での滞在を選択し、
鵬翔は宮崎へ一旦帰ることを選択しましたが、
どちらにしても滞在費、移動費がかかってしまいます。
一部大会側から補助が出るという話ですが、
それでも決して小さな出費ではありません。
それは応援する生徒や保護者にとっても一緒。
準決勝では圧巻のパフォーマンスを披露した京都橘応援団も、
19日にはセンター試験とのバッティングで来られない生徒もいるとのこと。
「今日せっかく来てくれたのにこういう形になってしまって、
次は来られない人のためにも、勝利で恩返しできたらいいなと思っています」と
小屋松は意気込みを語ってくれてました。
また、鵬翔は20日から新人戦が始まります。
「当然1、2年生で試合に出ている選手は(新チームでも)主力ですし、
その子たちを使わないで勝てるような世界ではないので、
新人戦も全力で戦わないといけません。
実際、新人戦でベスト4に入らないと
インターハイのシード権がもらえませんから。
それを逃すと1年間の戦い方が狂ってきますので」と松崎監督。
一方、京都橘の米澤一成監督は学校の先生でもあり、
「ウチは中学校もあって、中学入試もあるので、
その入試の業務(に支障がでること)であったりが
デメリットなのかなと思っています」と話すなど、
さまざまな影響が色々なところに出てくることを
両校の監督さんは正直に答えてくれた印象です。
とはいえ、もうこれが泣いても笑っても最後の1試合。
双方が色々な思いを抱える中で、19日に聖地で行われる決勝戦。
是非1人でも多くの方に国立へ足を運んでいただいて、
両チームには最高の雰囲気の中で
ラストバトルに臨んでもらいたいと思います。
写真は雪化粧の国立です。