3回前のコラムで、アルゼンチンへクサヤを持っていったことを書いた。
そのせいか、日本を発つ前にクサヤを食べたくなった。
以前から聞いてはいたのだが、京王線の笹塚に、旨いクサヤを食べさせる店があるという。
そこは、伊豆諸島の食材や料理が売り物の「ばんやしおさい」。
それぞれの島の焼酎も充実している。
一般的に東京で売られているクサヤは、カチカチに干してあるものが多い。
しかし現地では、一夜干しのように柔らかくて箸で食べられるものがある。
ホルヘがクサヤにハマったのは、八丈島でこれを食べたからだ。
そして、この店も嬉しいことにソフトタイプだった。
それから、亀の手の塩ゆでも食した。
これはスペインではペルセベスという高級食材。
しかし日本産はあちらのものと違い、食べる部分である「手首」が短い。
なんだか、さっぱり喰った気がしなかった。
アルゼンチンではさすがにクサヤは作れないが、普通の干物なら可能だ。
今までも冷蔵庫内乾燥や天日&扇風機乾燥でそこそこのものを作ってきた。
今回はさらに上質なものを目指し、業務用の吸水シートを持ってきた。
これに包んで数時間置くと、シートが魚の水分を適度に吸い取り、絶妙の干物になるらしい。
それはさておき、今年のアルゼンチン生活で不安なのは円安だ。
1ドルが約80円だったのに、今は約100円になっている。
もっともペソも1ドル約4ペソから約5ペソへと下落したので、1ペソが約20円というのは変わっていない。
しかし物価上昇が激しく、タバコは9ペソから10ペソ、バス代は1.20ペソから1.70ペソ、
いつも買っているウィスキーが1本50ペソから64ペソ、バーのチャージが120ペソから150ペソに上がっている。
これらは事前に分かっていたので、対応策としてドルを現金で持ってくることにした。
これまでは、日本の銀行の預金を国際キャッシュカードで下していたのだが、その場合はオフィシャルレート(現在1ドル=約5ペソ)になる。
アルゼンチンは深刻な外貨不足に陥っており、海外旅行などの正当な理由がなければ、一般人は外貨を買うことができない。
そして実際のペソの価値は、オフィシャルレートよりはるかに低くなっているという。
そうなると、闇レートなるものが生まれる。
現在は闇レートだと1ドルが約8ペソだという。
これで交換すれば、1ペソは約12.3円となり、物価上昇分を差し引いても、昨年の状態を上回る。
しかし闇の両替には怪しげなのも多く、偽札を掴まされることもあるらしいのでちょっと怖い。