ブエノスアイレス市のセントロにあるフロリダ通りは、
 
アベニーダ・デ・マージョ(5月大通り)からサンマルティン広場までの約1キロメートルに渡る歩行者天国。
 
道の両側には、お洒落なブティックやカフェが並ぶ観光スポットだ。
 
ここを歩くと、あちらこちらから、「カンビオ、カンビオ、ドラル、エウロ、カンビオ」という声が聞こえる。
 
 
 
声を出しているのはアルボリート(立木)と呼ばれる両替屋の客引きで、
 
「両替、両替、ドル、ユーロ、両替」と言っているのだ。
 
その数や夥しく、約100メートルの1ブロックごとに10人以上いるようだ。
 
中には、写真に写っている赤シャツの兄ちゃんのように、およそ金融関係者とは思えない者もいる。
 
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彼らが増えだしたのは、およそ1年前、外貨不足に陥った政府が、
 
国民がペソで外貨を買って貯めこまないよう、両替を原則禁止にしてから。
 
禁止されればなおのこと、国民はインフレで日々価値の下がるペソより外貨を欲しがる。
 
しかし銀行は両替停止なので、闇の両替屋で買うことになる。
 
両替屋は、売る外貨を外国人観光客から調達する。
 
違法な商売ゆえ、堂々と店を構えて看板を挙げられないので、客引きを使うようになったのだ。
 
 
 
ペソのレートは、政府が無理やりペソを高く設定している公式レートと、実勢で評価されている平行レートがあり、
 
闇の両替屋で使われるのは平行レート。
 
ちなみに11月27日現在、公式レートは1ドル=6.40ペソで、平行レートは1ドル=9.73ペソ。
 
1ドル=100円として、1,000ペソの買い物をした場合、クレジットカード払いや国際キャッシュカードで
 
引き出した金で支払うと公式レートとなり15,625円だが、
 
ドルの現金を平行レートで両替して支払えば10,277円と5,347円も得をする。
 
 
 
ホルヘはこの恩恵により、今年は毎月500ドル以内で生活することができた。
 
また先日パスポート(5年)の更新を現地大使館で行ったが、
 
それも日本だと11,000円のところが6,000円ちょっとで済んだ。
 
 
 
海外へ行く場合、渡航先に闇レートがあるなら、ドルの現金を持っていった方が得をする。
 
ただし盗難の恐れはあるので、管理には充分注意したい。
 
また偽札を掴まされないよう、現地の知人やホテル、
 
旅行会社などで信用できる両替屋を紹介してもらったほうがいい。


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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