今回は前回の続編を。
日本クラブユース選手権、通称“クラ選”へ
チームの創立以来、初めて出場することになった「JFAアカデミー福島」。
そんな彼らは東海地区予選を突破して全国大会へと勝ち上がると、
並み居る強豪を相次いで退け、灼熱の群馬ラウンドを見事に通過。
三ツ沢陸上競技場で行われるベスト4へと駒を進めたのですが、
その群馬ラウンドの最終戦となるベスト8で
初めて彼らのサッカーを目にした私は、事前に抱いていたイメージとは大きく異なった
彼らの最後まで“やり切れる”プレーや試合後にお話を伺った中田康人監督の話術に魅了され、
金曜日のナイトゲームにも関わらず、会社でやるべき仕事を早々に終わらせ、
三ツ沢へと足を運んだというのが、前回のざっくりとしたまとめです(笑)
そんな「JFAアカデミー福島」がベスト4で対峙したのはFC東京U-18。
激戦の関東予選を1位で通過し、天皇杯の東京予選でも大学勢を撃破して、
準決勝まで勝ち進むなど、世代トップクラスの実力者であり、
私も個人的に今年のチームを春先から何試合も取材してきたこともあって、
非常に楽しみなカードが組まれたなというのが率直な感想でした。
三ツ沢陸上競技場の第2試合がその舞台。
キックオフは19時ということもあって、完全なナイトゲーム。
少し小雨が降り続く中でスタートした一戦は、開始9分にいきなりFC東京が先制。
以降もFC東京のペースで試合は進んでいきます。
前半はアカデミーの3、FC東京の9というシュート数が示すように、
後者が終始リズムを掴んでハーフタイムへ入りました。
後半はアカデミーも積極的に立ち上がり、
お互いに手数を繰り出しあう展開に。
しかし、試合がヒートアップするのと時を同じくして、
前半からゴロゴロ鳴っていた雷もヒートアップ。
大会運営サイドは試合の中断を決定し、
時計の針は63分でストップしてしまいます。
結局、65分間近い中断を経て、
試合は21時30分に再開。
すると、「残り30分爆発しよう!」と指揮官に送り出された
アカデミーは1点を追って猛ラッシュ。
何度も決定的なシーンを迎えると、
84分に執念の同点弾をねじ込み、スコアは1対1に。
その後もお互いに決定機を創り合うも、
あと1点には届かずタイムアップのホイッスルがスタジアムに響き渡ります。
大会規定上では延長戦に入るはずでしたが、
スタンドには「これから抽選で決勝進出チームを決定します」というアナウンスが。
既に22時が迫っていた時間の制約上、延長戦とPK戦は執り行わず、
抽選で勝利した方が決勝に進出するという主催者の決定。
ただ、その事実は中断の間に両チームには伝えられていたそうです。
両キャプテンが中央に揃い、運命の抽選が。
一瞬の間があって、歓声に沸いたのはFC東京。
勇戦及ばず。
アカデミーは1次ラウンドから1試合も負けることなく、
大会をここで去ることになってしまいました。
高校生にとっては残酷な結末。
「『もう胸を張って帰ろう』と。
『6戦やって負けないで帰れるんだよ』という話をしました」
と語ってくれた中田監督は、初めて出場した“全国大会”を
「クラブユースの大会というのは出なくてもいいのかなと
思っていたんですけど、出て初めてこの良さがわかりました」
と総括。
「クラブユースの方がとか、高体連の方がとか、
皆さんも差を付けて語ったりしますけど、結局一緒だなって。
質とかそういったものは色々あるのかもしれないですけど、
本当に大会に臨む選手の気持ちだったり、
僕らのドキドキ感だったりは本当に一緒だなと思いますね」
と最後は笑顔で会場を後にしていきました。
初めての全国大会に臨んだ「JFAアカデミー」が
この期間で見せてくれた気持ちや執念は、
色々なモノを我々見る者に与えてくれたと思います。
彼らの今後にも大いに期待したいですね。
写真は3時間後に抽選を迎える試合のキックオフ直前@三ツ沢陸上です。