ホルヘは今回のコパ・アメリカで、初めてコンドミニアムというものに泊まった。
ホテルの予約サイトに日程を入れて検索をクリックしたら、アパートホテルが数件出てきた。
アパートホテルというのはダイニングキッチンが付いたホテルで、長期滞在に向いている。
ベッドルームだけの一般のホテルは、テーブルが小さくて仕事がしにくいことが多い。
そこで、オリゾン・グループ・アマートメントというのを、おかしな名前だと思いながら予約した。
空港からは、相乗りのバン。
運転手に住所を告げていざその場所に着くと、ホテルらしき看板はなく、
大きな鉄の門扉が閉ざされたビルだった。
アパートホテルだと思い込んでいたので、「こんなはずはない」と驚いたが、
守衛に訊いて初めて、そこがコンドミニアムだということを知った。
22階と19階の二棟からなる立派な建物で、場所はオフィス街。
旧市街の中心であるアルマス広場まで3ブロック半、
昔の要塞だったサンタ・ルシアの丘まで1ブロック。
コンドミニアムというのは、ビーチやスキー場などのリゾート地にあるものだとばかり思っていた。
各階15部屋なのでビル全体では相当数あるが、オリゾン・グループが管理しているのは55部屋だとか。
残りは、他の会社が管理している。
ホテルのようなフロントはなく、ビル内の一室のオフィスへ行ってチェックインする。
ホルヘが着いたのは夜中だったので、守衛からもらった鍵で部屋へ入り、翌日チェックインした。
部屋は完全なマンションで、2人分の食器と大小の鍋、フライパン、4つ口コンロ、オーブン、
電子レンジ、トースター、コーヒーメーカーと揃っているが、まな板と包丁がない。
日本では両方とも100円ショップで購入できる。
しかしチリでは100均のような店がなく、ある程度の金額となる。
はじめの3日間は外食とテイクアウトだったので、残りの約10日間のために買うのはもったいない。
そこで、食材は食事用のナイフで切れるものだけとし、ちゃんとした料理をするのはあきらめた。
ビルの1階には大型スーパーがあり、カット野菜が何種類も売られている。
旅行中は野菜不足になりがちなので、毎日のように大盛りサラダを食べた。
ホルヘはこれまで、オリーブオイルというものを買ったことがない。
理由は、値段が高いからだ。しかし今回は10日間だけなので、容量の少ないオリーブオイルを購入。
そして、これにはまった。
サラダやパスタにドバドバかけ、アルゼンチンに戻ってからも早速買った。
食材が限られるのでメニューも毎日似たり寄ったりだったが、
くつろいでチリ産のワインを飲みながら食べる夕食は、至福のひと時だった。