アルゼンチンの投票所 gol.スタッフ 2012年12月14日 ホルヘ・ミム〜ラ これがアップされるのは、まだ投票日前だと思う。 しかし、アルゼンチンではすでに投票は終了した。 中国や韓国などの近隣国では10日まで行われるようだが、 南米のように遠い国での在外投票は5日から8日までだった。 そしてホルヘは、日本大使館で行われた投票の係員としてお国のために働いた。 日本での投票は、届いたハガキを持っていけば投票用紙を渡してくれ、 それに記入して投票箱へ入れればいい。 しかし、在外投票は実にややこしい。 在外投票ができるのは、選挙人証を持っている人だけ。 投票者は選挙人証と身分証明証を持参し、係員から本人確認をされる。 ここで身分証明書の期限が切れていたりすると、それでアウト。 以前の在外投票は比例代表だけだったので、選挙人証に小選挙区が記載されていない。 そこで、それを調べなければならない。 ホルヘが主に担当したのは、上記の本人確認と小選挙区探し。 小選挙区はパソコンでなく書類で調べるので、市町村が合併したり名前が変わっていると簡単にはいかない。 投票者はそこを突破すると、投票用紙請求書と送付用封筒に必要事項を記載する。 投票用紙をもらうにも、請求書が必要なのだ。 集まった票は外交官が日本まで運び、外務省か総務省から各地の選管へ郵送される。 したがって、在外投票の段階ですべての票は、各選管の宛先が書かれた封筒に入れて封印される。 移住して何十年という高齢者には、これらへの記載が一苦労。 日頃日本語を書いていないので、通常の5倍以上のスローペースとなる。 もちろん係員が補助をするし、場合によっては代筆もする。 なにしろ、日本語の読み書きどころか話せない2世や3世もいるのだ。 今度はその請求書で投票用紙をもらうのだが、投票用紙とは別に内封筒と外封筒も渡される。 比例用、小選挙区用それぞれがセットになっている。 記入した投票用紙は内封筒に入れ封印し、それをさらに外封筒に入れて封印。 そして外封筒に必要事項を記入する。 ここで不思議なのは、投票用紙にはローマ字で記入しても認められるのに、外封筒には日本語しか許されないこと。 投票所には全選挙区の政党と立候補者のリストがあり、その中にはローマ字版も用意されている。 日本語が書けなくても、ローマ字で投票できるようにという配慮だ。 しかし外封筒が日本語限定なので、結局は代理人投票を依頼することになる。 「仏作って魂入れず」とは、まさにこのことだ。 外封筒を封印して必要事項を記載したら、それを提出場所へ持っていく。 そこでは立会人がそれぞれの外封筒に署名をし、別の係員が比例代表用と小選挙区用の外封筒を、 選管宛ての送付用封筒に入れて封印する。 あー、ややこしや。 投票所は混んでいない、というよりガラガラだが、移住者は受付から投票終了まで20分前後かかる。 あまりにも面倒なので投票しないという人が増えているようで、投票者の数は選挙のたびに減っている。 選挙人登録のキャンペーンは地方でも積極的に行ったらしいが、投票所は地方になく、ブエノスの大使館1か所。 「今回の選挙は重要だから」といって、トゥクマンからバスで17時間かけて来た人もいたが、これは特別な例。 漏れ聞いた話では、今回の在外投票には南米全体で約8000万円掛かっているとか。 1票当たりの経費は、相当なものになるはずだ。 もっと投票率を上げないと、やがて仕分けの対象になってしまうかもしれない。 Tweet