今週の水曜日、東京都サッカートーナメント社会人代表決定戦という
ゲームの取材に西が丘へ行ってきました。
何やら長めのタイトルが付いた大会ですが、
簡単に言うと天皇杯の東京都予選。
既に勝ち上がっている大学生との準決勝へ
社会人代表として進出するためのワンマッチがこの大会です。
1試合目はJFLに所属している横河武蔵野FCと
関東1部リーグに所属しているエリースFC東京が激突。
エリースも前半は何とか無失点で凌ぐなど健闘しましたが、
終わってみれば横河が上位カテゴリーの貫禄を
見せ付ける格好で3-0と勝利。
早稲田大学と準決勝を戦うことになりました。
非常に凄まじい激闘となったのが第2試合。
カテゴリー的には第1試合と同様に、JFL所属のFC町田ゼルビアと
関東1部リーグ所属の東京23FCが対峙するゲームですが、
町田は昨年のJ2クラブ。選手は基本的にプロ契約で、
1年でのJ2復帰を至上命令にタレントを多く揃えたチームであり、
選手が働きながら夜9時スタートの、
しかも2時間に満たない練習を週3回こなしている東京23FCとは、
あらゆる面で環境が違うことは間違いない現実。
彼らがどこまで町田を苦しめられるかが、ゲーム前の焦点だったと思います。
ところが、試合開始からゲームの主導権を握ったのは東京23FC。
「格上相手にアグレッシブさを出さずにどうするんだ」と
東京ヴェルディや名古屋グランパスで活躍した米山篤志監督に
送り出された選手たちは、持ち前のポゼッションスタイルを存分に披露。
昇格という目標を考えると苦境に立たされつつある町田が、
少しリーグ戦からはメンバーを入れ替えてきたことを差し引いても、
大いにその“らしさ”を見せ付けてくれたのです。
とはいえ、町田も当然負けるわけにはいかないゲーム。
後半に入ると、日曜のリーグ戦から中2日というスケジュールの
東京23FCは足が止まり始め、町田のラッシュが続きます。
それでも絶体絶命とも言うべきPKのピンチも、GKの岡本翼がビッグセーブでゴールを許さず。
最終ラインも体を張り続け、粘って粘って終盤までスコアレスの状態を保ちます。
すると、西が丘が歓喜に沸いたのはアディショナルタイムの90+2分。
スローインの流れから田仲智紀がドリブルで相手を切り裂き、
上げたクロスを河村太郎が頭でプッシュ。
劇的な決勝ゴールで東京23FCが準決勝へと進出する権利を力強く勝ち取りました。
決勝アシストの田仲は浦和ユース出身。
同期には山田直輝や高橋峻希、阪野豊史らがいた黄金世代で、
中央大進学後も活躍していたものの、結果的にプロからは声がかからず、
社会人としてプレーすることを選択したそうです。
ただ、プロへと進む道を探っていた昨年末、
練習参加した後にギリギリまで獲得の返事を待たされた挙句、
結果的に断りを入れられたのが実は町田。
田仲自身も「今日はやってやろうかなと思っていた」と
自身の秘めた想いを試合後に明かしてくれました。
チームメイトがお揃いのポロシャツと短パンで帰途に就く中、
ネクタイにYシャツ姿でロッカールームから出てきた田仲。
聞けばこの日は内定をもらった会社の内定者会があり、そこから直接会場入りしたとのこと。
人生の大きな決断を下した男が、魂のアシストで引き寄せた勝利。
サッカーとは、そして人生とは本当にわからないものですね。
田仲選手の今後にも是非注目したいと思います。
写真は試合後のピッチ@西が丘です。