ポルテーニョ(ブエノスアイレスっ子)が世界一広い通りだと自慢するヌエベ・デ・フリオ大通りで
かねてから行われていた工事が終わり、以前は中央分離帯だったところがバス専用レーンになった。
この新システムは「メトロ・ブス」といい、11路線が走っている。
それぞれが定められた停留所に止まるのだが、これはバス停というより電車のホームのようになっている。
そしてこのホームが延々と続いており、大通りを歩くなら、歩道よりもここを通ったほうが気持ちいい。
距離は僅か3キロメートル程度ながら、以前はラッシュ時に大混雑していた。
専用レーンの開通で、通勤客のストレスは大幅に減った。
またこの工事に合わせ、コンビと呼ばれるミニバスの発着所も地下に造った。
ブエノス郊外には、カントリークラブやバリオセラードという住宅地が多い。
日本ではカントリークラブがゴルフ場と同意義で使われるのが一般的だが、
こちらではゴルフコースやテニスコート、馬場、プールなどが併設された閉鎖型住宅地を指す。
バリオセラードは、それの娯楽施設がないもの。
本来は小金持ちが週末の別荘として利用していたが、現在は本宅としている人が多い。
そこからの通勤手段がコンビなのだが、以前はヌエベ・デ・フリオ沿いに何台も駐車していたため、
これも渋滞の原因となっていた。
元ボカ会長のマクリ市長による交通改革は目覚ましいものがある。
その一方、全然良くならないのが鉄道だ。
ホルヘは先日、知人と一緒にレティーロ駅から出るミトレ線に乗った。
まずは切符売り場に行くのかと思ったが、この知人が「切符はいらない」という。改札でのチェックがないのだ。
そのため、誰も切符を買っていない。
彼が以前売り場に行ったら、そこの職員から「買う必要ない。行け行け」と言われたそうだ。
利用客にとっては嬉しいことだが、結局その補てんは国庫から出すことになる。
運賃は元々非常に安い。これは国が補助金を出しているため。
しかし利用者から徴収せず、補助金と国庫任せというのはあきれたものだ。
この線に乗るのは数年振りだが、そのときに比べて凄く遅い。
ディーゼル機関車でなく電化された路線なのに、何度も止まるし動いてもノロノロ。
後日鉄道に詳しい人に聞いたのだが、予算不足でメンテナンスが出来ないため、
線路はウネウネと曲がっているのだという。
だから脱線しないよう、慎重にゆっくり走るそうだ。
そういえば、ニュースでもしょっちゅう脱線の報道をしている。
結局御破算になったが、アルゼンチンでも新幹線のような高速鉄道建設の計画があった。
メンテナンス意識の低いこの国で高速鉄道が走ったら、一体どんなことになるのだろう。考えただけでゾッとする。