Jリーグではサガン鳥栖が首位と好調だが、アルゼンチンでも今期はゴドイクルス、ヒムナシアという
 
リーグの優勝経験がないクラブが健闘している。
 
元アビスパ福岡のトログリオが指揮するヒムナシアは、残り2節でリーベルと同勝ち点の首位に立っていた。
 
 
 
第18節、ヒムナシアはアウェイでキルメスと対戦。
 
キルメスは、キルメスという街にある国内最大のビール会社キルメスがオーナーのクラブで、

愛称はCERVECERO(ビール工場)。
 
1部と2部を行ったり来たりしており、今期も降格争いの真っ最中。
 
 
 
ホルヘの乗ったバスがスタジアムまで1キロメートルあたりまで来ると、
 
群れていたサポーターがバスに乗ろうとした。
 
雨は降っていたが、なぜこんな近くから乗ろうとするのかわからない。
 
運転手も、「あと少しで左へ曲がる。スタジアムまでは行かない」と乗せないように説得するものの、

相手は「乗せろ」の一点張り。
 
結局運転手が折れ、彼らが乗車してきた。
 
そのとたん、車内にマリファナの香りが蔓延した。
 
おまけに、誰一人乗車賃を払うものはいない。
 
その後は短い道中、窓をバンバン叩きながらチャントの熱唱。
 
写真を撮ろうかと思ったが、からまれそうなのでやめた。
 
 
 
スタジアム近辺は、かなり警備が厳重だった。
 
現在はアウェイのサポーターを入場させないため、どこでも警備が緩やかになっている。
 
しかしキルメスは、バラスブラバス(フーリガン)の内部対立が激しい。
 
昨年も、試合後に対立するグループが路上で乱闘となりピストルを発射した。
 
近所の住民が自宅前に停めた車の運転席にいたところ、銃弾がフロントガラスを貫通しハンドルに着弾。
 
もう少しで胸に当たって絶命するとこだ。
 
当事者の奥さんがニュースのインタビューで、
 
「主人はショックで寝込んでいる。試合のたびにいつもこんな騒ぎが起きる。もう、すぐにでも引っ越す」

と怒りをぶちまけていた。
 
 
 
試合はキルメスが2-0で勝利。
 
リーベルが勝ったため、ヒムナシアの初優勝は限りなく難しくなった。
 
一方のキルメスはこれで残留が決定。
 
キルメスのロンバルディ監督は、これまでにもアルヘンティノスで2回、
 
ニューウェルスとラシンでも厳しい状況から降格を防ぎ、「残留請負人」として名をはせている。
 
 
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キルメス(青)対ヒムナシア
 
 
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トログリオ監督(ヒムナシア)
 
 
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ロンバルディ監督(キルメス)


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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