コロンビアガイド3 ホルヘ三村 2014年10月3日 コロンビア, ホルヘ・ミム〜ラ, ライフスタイル 第1回目のコロンビアガイドで説明したが、コロンビアの道には名前でなく番号が付けられている。 南北に走る道をカレーラ(略称はK)、東西に伸びるものをカジェ(同CL)と区別し、 カレーラは西方向に、カジェは北方向に番号が大きくなる。 旧市街のセントロは碁盤の目のようになっているので、この道路表記は非常に分かりやすい。 住所さえ知っていれば、地図がなくともたどり着ける。 しかし、セントロの外は少し厄介だ。 道には斜めに伸びているものや曲がりくねったもの、さらに枝分かれするものもある。 そのため、セントロではCL10の隣だったCL11が、数キロ先ではCL40の隣になることもある。 そしてその不都合を正すため、CL11が急にCL41という番号に変えられたりする。 しかし元々のCL41というのもあるので、41A、41Bと表記されるようになる。 ボゴタは南がセントロで北へ郊外が延びている。 一般的に、南は物騒、北は安全といわれている。 そんな北部のサンタ・バルバラという地区に、日本料理屋の「侍や」がある。 住所はK8A No.124-22。 これはカレーラ8Aとカジェ124が交わったところの、カレーラ8A沿いの22号という意味。 住宅街の中にある、小さな店だ。 元はセントロにあり、およそ14年前に移転した。 ホルヘが初めてこの店に行った日、翌日だか翌翌日に移転すると聞き、引っ越しを手伝ってからの付き合いになる。 開店から30数年という、コロンビアの日本料理屋の草分け的存在。 現在は日本人の職人が腕を振るう高級店がいくつかあるが、侍やは庶民的な店だ。 オーナーの高橋さんは日本人旅行者にも親切で、いろいろと相談に乗ってくれる。 というよりも、日本語で会話できるのが嬉しいらしく、しゃべりだすと止まらなくなる。 店内には、ホルヘがプレゼントした元コロンビア代表GKにしてボカでコパ・リベルタドーレスおよび トヨタカップを制したオスカル・コルドバの写真が飾ってある。 先日コルドバが客として来店し、「なんで、こんな写真があるんだ」と喜んでいたそうだ。 高橋さんは数年の役所勤務を経て日本を飛び出し、ヒッピーとして世界を巡った。 それから40年近く、一度も日本に帰っていないという。 以前、現地在住の日本人常連客とホルヘがいたとき、「そろそろ里帰りしてみようかな」と言い出したことがあった。 常連客はそれに対し、「今更帰っても、浦島太郎になるだけだ。鉄道も変わっているし、 迷子になって故郷にたどり着けないぞ」とからかった。 すると高橋さんは、「なんとか東京駅まで行き、後は赤帽に荷物を預ければホームまで連れて行ってくれるよ」 と真面目な顔でいう。 赤帽とは、駅構内で荷物を運んでくれるポーターのこと。昔は、主要駅にたくさんいたものだ。 想像以上の浦島太郎ぶりに、「赤帽なんて、もういないよ」と突っ込むと、 「エッ、赤帽はセ・アカボー」と返してきた。 SE ACABÓとはスペイン語で「終わった」という意味。 この絶妙のダジャレに我々は大爆笑。 今でも高橋さんに会うと、このときのことを思い出す。 侍やの高橋さんと Tweet