2日目も全敗で終わった後、ホテル近くの中華料理屋へ入った。
 
ちなみにホルヘが泊まったビジネスホテルは小田原駅ではなく、
 
そこから大雄山線でひとつ目の緑町駅の前で、近くには少年院と拘置所がある。
 
一駅離れているとはいえ、小田原まで徒歩圏内。
 
 
 
その中華に入ったのは、「おつまみ30種」「平日、紹興酒半額」という張り紙に惹かれたから。
 
ひとりだと、一品料理を何皿も食べられない。
 
しかし「おつまみ」というからには少量なはずで、これなら数品オーダーできる。
 
さらに、おつまみや紹興酒を張り紙にしているということは、居酒屋的な中華だと判断したのだ。
 
 
 
美味しく安く飲み食いできたものの、想像していたのとは違い、居酒屋的どころか本格中華の店だった。
 
ホールの女性は日本人だが、コック3人とオーナーは中国人。
 
しかも、刀削麺まである。
 
刀削麺とは、小麦粉を練った塊を包丁で薄く削りながら熱湯の中に入れていく独特の麺だ。
 
 
 
ホルヘは、かねてより刀削麺についてある疑問をもっていた。
 
それは、茹で時間の時差。
 
1本1本削りながら熱湯に入れるので、初めの1本と最後の1本では茹で時間が違ってしまう。
 
2人前、3人前と量が増えれば時差はさらに広がる。
 
この点が気になっていた。
 
 
 
いろいろと想像はしてみた。まず考えたのは、我々日本人は蕎麦やうどん、
 
ラーメンの麺のコシや食感にこだわるが、おおらかな中国人はそんなこと気にしていないのではないかということ。
 
次の案は、刀削麺の職人はナントカ師という資格をもっているそうなので、
 
その技術は非常に高く、初めと終わりで麺の厚さを微妙にコントロールしているのではないか。
 
ショージ君シリーズなど食のエッセイで有名な漫画家の東海林さだおは、刀削麺の魅力は食感の違いだという。
 
刀削麺は横から見ると薄い二等辺三角形になっており、太い部分は腰があり、
 
中央部はツルツルし、薄いところはペロペロしていて、

それを同時に味わえるから美味しいのだ、ということを書いていた。
 
彼は自宅でそれを再現するため、うどんと素麺とワンタンの皮を同時に茹でたが、それはさすがに拙かったそうだ。
 
1本の麺の中に食感の違いがありそれが美味しさの秘密なら、1本1本の食感も異なれば、
 
さらに美味しくなるという理屈もありそうだ。
 
とまあ、このようなことを20年来考えていた。
 
それが今、ふと飛び込んだ小田原の中華料理屋で解決しようとしている。
 
眼の前に、刀削麺の職人ナントカ師がいるのだ。
 
 
 
しかし、なんということか、会話が成立しない。
 
日本へ来て数年経つのに、仕事も生活も中国人同士なため、日本語はほとんどできない。
 
絶好の機会を得たものの、長年の謎は解明できなかった。
 
 
 
3日目の午前中は、箱根湯本まで足を延ばしてプラプラと散策。
 
知人への土産に、名物のわさび漬けを買う。
 
午後のレースでは2回的中したが、一発逆転を狙った最終レースを外したため、3日間トータルではマイナス。
 
東京に戻り300円の土産を渡した知人から、「相当、高くついたわさび漬けだな。おろそかには食べんぞ」と、
 
映画「七人の侍」のセリフみたいなことをいわれた。
 
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About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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