今年も残すところあとわずか。
毎年この時期になるとやってくるのが、ウルグアイのエル・パイス紙が実施する「南米年間最優秀選手賞」を決める投票です。
 
 
この投票はもともとベネズエラの新聞エル・ムンドが1971年に始めたもので、昔からフランス・フットボール誌によるバロンドール選考と並んで世界的に注目されてきました。
当初は「南米最優秀選手」だけでしたが、今は監督、レフェリー、チーム、ベストイレブンの他、自分の国のリーグ戦における最優秀選手と監督まで7項目において選考が行われます。
投票は南米各国の記者によって行われるのですが、一昨年から私も投票権をいただくという名誉にあずかりました。
 
 
この賞は「南米出身の記者」によって選考されるものだと勝手に思い込んでいたので、選考委員会から投票の依頼を受けたときは思わず「日本人だけどいいんですか?」と聞いてしまったのですが、担当者の回答は「アルゼンチンでもう25年以上取材活動を続けているんですよね。25年前と言ったら僕はまだ幼児。僕よりも南米のサッカーを観ているのだから(投票権を持っていて)当然ですよ」というものでした。
もちろん「自分の国のリーグ戦における最優秀選手と監督」では、私の場合アルゼンチンが対象になります。
これほど光栄な言葉をいただいた以上、しっかり考えて投票しなければいけません。
もちろん、どんな選考もいい加減な気持ちで投票することは許されませんが、バロンドール同様、これも誰が誰に投票したのかがあとで公表されることもあって、例えば「該当者がいないから今回はこの人でいいわ」なんて妥協は駄目。
「1989年から南米サッカーを取材し続けている記者」としての選考の目が求められているわけですからね。
 
 
でも正直なところ、投票には毎回悩まされています。
理由はいくつかあって、そのひとつはサッカーという団体競技において一人のベストプレーヤーを選ぶ、ということに対してもともと抱いていた違和感。
これについては様々な意見があると思いますが、私の場合、以前ディエゴ・マラドーナが「自分ひとりのおかげでアルゼンチンがメキシコW杯で優勝したという考えは間違っている」と力説しながら、当時のチームメイトたちの貢献度を細かく説明していたのを聞いて深く納得したこともあり、どうしても一人の選手を選ぶことの難しさを感じるのです。
もうひとつの理由は、最近、サッカーを観るときにどうしても個人的な感情を移入するようになってしまったこと。
以前はもっと公平な見方ができたのですが、このところ自分が好きなチームや個人的な思い入れがある選手にどうしても気持ちが傾いてしまうのです。
 
 
前回お話した、コパ・スダメリカーナ準決勝でシャペコエンセに敗れたサンロレンソなどその良い例で、現役時代から大ファンだったディエゴ・アギーレが監督ということでかなり肩入れしていただけに、負けた時のショックときたら本当に大きくて。
それだけにシャペコエンセの事故も一層衝撃的だったわけで、これも今回の選考に影響してしまうことは否めません。
 
 
とはいえ悩みながらも選考しなければいけないので、エル・パイス紙に時折掲載される投票の途中経過をチェックしながらただいま思案中。
他の記者の選択を意識するわけではありませんが、どのような傾向があるのかを知ることは参考になります。
締め切りはウルグアイ時間の12月23日中。
すでに「投票をお忘れなく」というメールが2度も送られてきていて焦るのなんの。
最後の最後になって、私情丸出しの選考をしてしまって顰蹙を買うなんてことのないように、今年1年をしっかりと振り返ってよく考えなければ!(と言いながら大好きなアギーレの写真で締め括る私・・・)
 
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About The Author

藤坂ガルシア千鶴

マラドーナとアルゼンチンに憧れ、20歳のときに単身でブエノスアイレスに渡ったが最後、結局そのまま定住。大学在学中からサッカー専門誌にコラムを連載し始め、現在もライター活動を続けている。家族はウルグアイ人フォトグラファーの夫、仕事で中東に在住する長女、そして大学で猛勉強中の次女。映画全般、へヴィメタル、格闘技が大好き。明日はどうなるかわからない国アルゼンチンで、ブルース・リーの名言「水になれ」をモットーに気楽に暮らすアラフィフ世代。

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