アルゼンチン土産で有名なのは、ワイン、革製品、アルファホーレス(お菓子)、マテ茶、インカローズ(宝石)などだ。
日本ではチリワインがかなり流通しているが、アンデス山脈を挟んだアルゼンチンのメンドーサ地方でも良質なワインが生産されている。
 
 
世界的な牛肉の生産国であるアルゼンチン。
NHKの番組で、肉料理のシェフが各国のステーキを食べ歩くシリーズがある。
そこで取り上げられた際、出演者のシェフが、「アルゼンチンの肉が一番旨い」と絶賛していた。
そのステーキは2歳のアンガス牛で、非常に柔らかい上に旨味もあるとのことだった。
しかし、庶民が普段食べる肉は結構固い。
輸出も盛んで、口蹄疫の関係でこれまでストップされていた日本へも、昨年初めて出荷された。
 
 
畜産が盛んなので革製品も豊富だ。
ショッピングストリートのフロリダ通りには、革専門のブティックが並んでいる。
自社で製作しているので、革ジャンやコートなどのサイズ直しは半日か1日でやってくれるし、オーダーメイドも可能。
また牛革だけでなく、珍しいカピバラの革製品もある。
革ジャンなどは値が張るが、小物類はお土産に最適だ。
 
 
アルゼンチン銘菓にアルファホーレスというものがある。
森永のエンゼルパイのようなもので、パイの部分はもっと固く、中にドゥルセ・デ・レチェというクリームが入っている。
これはクリーム状のキャラメル。
価格やサイズはお土産にピッタリなのだが、甘さが日本人にはきつすぎる。
 
 
インカローズは宝石だから高いし、見た目がそれほど綺麗ではない。
マテ茶は、ボンビージャという専用の器具と一緒にプレゼントすると喜ばれる。
 
 
このようにお土産の種類はいくつかあるものの、ホルヘは何度も往復しているのでネタが尽きた。
そこで岩塩がブームになったとき、結晶状の塩をお土産にした。
スーパーで売っている普通の塩だ。
北部の塩湖で採れたもので、これが意外にいうけた。
 
 
多くの土産物屋に置いてある定番に、小さなフィギアがある。
メッシやマラドーナをはじめ、内外の有名人をモチーフにしている。
ホルヘ行きつけのバーのママは変わり者で、ビンラディンが好きだという。
これを見つけたのでお土産にすると、大変喜ばれた。
チェ・ゲバラも好きだというので、これもプレゼントした。
値段は200円ちょっとだ。
今回の帰国に当たり、映画ボヘミアンラプソディーがヒットしているから、フレディ・マーキュリーを買うことにした。
たしか、以前に見た覚えがある。
 

 
 
土産物屋を数件回ると、ショーウィンドーの中にお目当てのものを発見した。
かなりデフォルメされているが、フィギアの土台にMERCURYと記されている。
 

 
 
店員に、「マーキュリーをくれ」といおうと思ったが、ここでしばしためらった。
はたして、マーキュリーの発音で通じるかどうか不安になったのだ。
 
 
日本では外国語の名称をそれに近いカタカナ表記にするが、そのまま発音しても海外では通じないことが多い。
さらに、アルゼンチンには音よりもスペルを重視するという傾向がある。
たとえば、今やタイヤメーカーとしてよりグルメ本の版元としてのほうが有名になったミシュランは、MICHELINをローマ字読みして「ミチェリン」と呼ばれる。
 
 
この方式だと、MERCURYは「メルクリー」になる。
たしかにスペイン語で、「キュ」という発音はほとんど聞かない。
しかし、スペルよりも耳から先に入ることの多い有名人の名前は、そのように発音されているようだ。
そこで、MERCURYを2音節に分け、頭の部分は発音優先、後半を文字優先とし「マークリーをくれ」と注文した。
すると、「マクリ?あのクソ野郎のはない」との返事。
 
 
マクリ大統領と間違えられてしまった。
しかも店員はアンチ・マクリらしい。
「違う違う、クイーンのフレディー・マーキュリーだ」とガチガチのカタカナ発音でいったら、「あー、マーキュリーね」とすぐ通じた。
 
 
こうして入手したフィギアだが、バーのママの反応は薄かった。


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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