コパアメリカ開幕 ホルヘ三村 2019年6月15日 ウルグアイ, エクアドル, チリ, ブラジル, ホルヘ・ミム〜ラ いよいよコパ・アメリカが開幕。 今回は日本代表が出場するので、日本から多くの報道陣がやってくるためホルヘはお休み。 分をわきまえて、大手メディアと張り合う気はサラサラない。 そして日本代表にも、間違ってベスト4以上になどならないことを期待している。 南米の強豪がしのぎを削る大会で、ほんの30年ほど前から本格的にサッカーを始めたような国の、しかも若手チームが好成績を残すのは正しい姿ではない。 奇跡や幸運、偶然が重なれば勝ち上がることもあり得るが、そんなことになれば、選手やサポーターが勘違いして今後の成長に悪影響を与えてしまう。 ここは実力通りグループリーグ敗退、最悪でもトーナメント1回戦で引き揚げてほしい。 ここで得るべきは、結果よりも将来の糧だ。 コパ・アメリカに出場するという貴重な体験を、東京五輪やその先の日本サッカーにつなげてもらいたい。 南米の選手は、とにかく身体の使い方がうまい。 日本の選手もボールテクニックは巧みだが、相手と競り合う状況になるとそのレベルが著しく下がる。 競り合いながらでもコントロールに優れることを「球際に強い」と一般的にいうが、正しくは「人際に強い」なのではないかと思う。 ボールと相手選手を同時に処理しなければならないとき、二つのうちのどちらを優先するか。 おそらく日本人はボールのほうに気を取られがちになるが、南米の選手は、まず相手のことを考える。 相手さえ制してしまえば、ボールのことはどうにでもなるのだ。 そこでボディコンタクトが生じるわけだが、それも単なるブロックやチャージに止まらない。 押し相撲のように、相手が押して来たらそれを利用して受け流すなど多種多彩。 相手を制するには、少しでもバランスを崩させればいいのだ。 日本の選手には、こうした技術をぜひ学んでもらいたい。 初戦の相手チリのルエダ監督は、5日も前に日本戦のスタメンを発表した。 南米では前日にメンバー発表というのは普通にあることだが、5日前というのは異例だ。 チリの懸念は、エースであるサンチェスのコンディションだった。 右足首の負傷の回復が長引き、ほんの数日前までは、「彼の起用は第2戦からというのが現実的」とチーム関係者が語っていた。 しかし11日に行われたアマチュアチームとの練習試合にサンチェスが出場し、高いレベルで40分プレーできたことで、監督は初戦からの起用を決めた。 まさか格下の日本相手にブラフをかますこともないはずで、つい嬉しくなって12日の会見でしゃべりすぎてしまったのだろう。 ウルグアイは2010年南アW杯で3位となり、翌年のコパ・アメリカでは優勝。 FIFAランキングも2位まで上昇した。 そうしたことで、最近のウルグアイ国民は、「ウルグアイはサッカー強豪国だ」との意識が強い。 そんな中、昨年行ったアジアツアーで代表は韓国と日本に連敗。 たとえ協会の資金稼ぎの親善試合とはいえ、これがウルグアイ国民のプライドを傷つけた。 したがって代表はこの場を借りて、日本をボコボコにしなければならないのだ。 FIFAの出場停止処分と負傷で前回と前々回大会欠場のスアレスが、今回はその鬱憤を晴らすべく気合十分で出番を待っている。 負傷明けではあるものの、直近のテストマッチ(パナマ戦)では63分から出場して1ゴールを決めている。 スアレスは得点後のパフォーマンスで親指、人差し指、中指の3本を立てて喜びを表す。 この指は、それぞれ3人の子供を表しており、「このゴールを子供たちに捧げる」というメッセージだ。 ゴールを量産し続ける彼は、まさかいちいちこのポーズをするのに疲れたわけではあるまいが、左首に3本指のタトゥーを入れてしまった。 日本戦でも、彼の子供たちを喜ばせることができるだろうか。 日本代表3戦目の相手はエクアドル。 普通に考えれば、この時点で日本の勝ち点は0か1。 チリとウルグアイが連勝していれば、これは消化試合となってしまう。 エクアドルはこのグループの南米3か国の中では最も格下ながら、初戦から2連敗する可能性は低そうだ。 勝ち点1か2を挙げていれば、彼らにはまだ生き残りのチャンスがある。 エクアドルファンのホルヘとしては、是非ともがんばってもらいたい。 エクアドルの監督はコロンビア人のゴメス。 02年の日韓大会に、悲願のW杯初出場へと導いた功労者。 W杯予選中には、暴漢にピストルで撃たれ重傷を負いながらも、エクアドルの地を離れることなく任務を全うした。 ホームの試合では、早くから詰めかけてくれたサポーターのために、一人でピッチに登場してサルサを踊ったりもする。 雑誌のインタビューでは、顔全体を黄色・青・赤の国旗カラーにペイントするなどサービス精神も満点。 4大会連続でW杯に出場するも前回のロシア大会は予選敗退だったエクアドルは、このカリスマ監督の下で復活を目指している。 これら3か国の詳細はスポルティーバWEB版にも掲載予定なので、そちらもどうぞ。 Tweet