炎天下 ホルヘ三村 2019年2月18日 エクアドル, ホルヘ・ミム〜ラ エクアドルはスペイン語で赤道の意味。 その名の通り、エクアドルは赤道直下に位置している。 首都のキトは標高2800メートルと高地なため、空気も乾燥しておりさほど暑さを感じない。 しかし、さすがに直射日光は強い。 初めてエクアドルを訪れたのは1991年だった。 そのときは、陸軍病院前の安ホテルに泊まっていた。 それから数年後、ホテルキトという一流ホテルを利用することができた。 現在は外資系の高層ホテルが多数あるものの、当時の豪華ホテルはホテルコロン、オロベルデ、そしてホテルキト。 とはいえ、ホテルキトは年代物で不都合が多いうえ市街地から離れているので格安パックがあり、それを利用したのだった。 人生において、五つ星ホテルはこれが初めてのこと。 ゴージャスな雰囲気をいろいろと味わうべく、まずはプールへ向かった。 もっとも泳ぎは苦手なので、プールサイドでビール片手に日光浴。 たまに水に入りながらの小1時間だったが、これで見事に全身やけど。 その後、1週間は苦しむこととなった。 さすが、赤道直下。 しかし、同国最大の都市はキトではなくてグアヤキル。 古くから商業の中心として発展してきた港湾都市だ。 ここは平地で湿気も強く、典型的な熱帯の地といえる。 95年のコパ・リベルタドーレスに、ここをホームとするエメレックが出場した。 ブラジルのパルメイラスとグレミオが同じグループという厳しい状況で、ホルヘはホームのグレミオ戦を取材に行った。 強豪相手に地の利を最大限に活かそうと、キックオフがまさかの正午。 赤道直下ゆえ、太陽は正午に頂点となる。 座ってカメラを構えているだけで汗が滝のように噴き出す暑さ。 この作戦の甲斐あって、後にこの大会を制したグレミオと2-2で引き分けた。 東京五輪では暑さ対策のためにマラソンのスタートを早朝にしようと検討しているが、南米のサッカー界は自分が有利になることしか考えない。 健康問題など入る余地はないのだ。と思っていたら、エクアドルでデーゲーム禁止の動きが出てきた。 旗振り役は、元国際審判員のポンセ。 彼は顔面に、紫外線が原因とされる重い皮膚炎を負った。 紫外線は皮膚がんの要因とされており、ポンセは一歩手前までいったのだ。 その経験から、デーゲームは選手、審判のみならずスタンドの観客をもその危険にさらすと主張し、禁止するよう訴え始めた。 がん撲滅協会も賛同し、「10時から17時までは試合を行わない」というキャンペーンを繰り広げている。 「デーゲームは行わない」とプリントされたシャツを着てジャッジするなど、審判協会もこれをバックアップ。 やがては、「ストも辞さず」ということになるかもしれない。 サッカーをプレーあるいは観戦しなくとも、日中、屋外にいることは多々あるので、デーゲームだけを悪者にするのはどうかと思う。 しかし紫外線の恐ろしさ、皮膚がんとの関連性を知らしめるには効果的な運動だ。 Tweet