現在コロンビアで、プレオリンピコと呼ばれる五輪南米予選が行われている。
頭に「プレ」がつくプレシーズンとかプレ大会は、準備とか予行という意味で使われることが多い。
したがって五輪予選がプレオリンピコ(=プレオリンピック)なのだが、W杯予選はエリミナトリアスで、プレムンディアル(=プレワールドカップ)とは呼ばない。
なぜか、五輪予選だけがプレオリンピコとなっている。
 
 
この大会に出場するのは10か国で、1位と2位が東京五輪の出場権を得る。
システムは、5か国ずつ2グループに分け、各グループの上位2か国が決勝リーグに進出するもの。
グループAは全勝のアルゼンチンが1位通過で、2勝1分け1敗の地元コロンビアが同勝ち点のチリを得失点差で上回って2位。
グループBも似た結果で、ブラジルが全勝し、勝ち点6のウルグアイが得失点差でボリビアに競り勝った。
アルゼンチンはマカリステルのゴールなどで9得点2失点、ブラジルはマテウス・クーニャ、ペペーが3ゴールずつ決めて11得点5失点で他を圧倒した。
 
 
アルゼンチンは決勝リーグでも好調を持続し、ウルグアイとの激闘を3-2で制すると次戦もコロンビアを2-1で下し、最終戦を待たずに優勝と五輪切符を確定。
一方のブラジルは、コロンビアとウルグアイ相手に1-1の2引き分け。
9日に行われる最終節は、アルゼンチン(勝ち点6)対ブラジル(同2)、ウルグアイ(同1)対コロンビア(同1)のカード。
ここの結果次第では、前回のリオ五輪覇者のブラジルが予選敗退ということになる。
 
 
この大会は、もちろん23歳以下の代表によって争われている。
その年代の大会である五輪の予選だから当然のことだが、実はU-23でプレオリンピコが行われるのは16年振りのことなのだ。
2008年北京、12年ロンドン、16年リオ五輪ではこの大会はなかった。
では、どのようにして五輪出場権を決めていたかというと、U-20南米選手権をプレオリンピコと兼用していた。
この大会は2年に1度開催され、U-20W杯の予選も兼ねている。
そして07年からは、プレオリンピコの役割まで背負いこむようになった。
しかし、これは五輪予選としては全く矛盾したものだった。
08年の北京五輪の前年に行われた07年大会、12年ロンドンの前年の11年大会、16年リオの前年の15年大会がプレオリンピコとなったが、そこで出場権を獲得した選手は五輪本番では21歳以下なので、五輪代表メンバーに入ることは稀なこと。
つまり、本番に出場しない選手とチームに予選を任せていたのだ。
なぜこのようなことになったかというと、南米のサッカー強国では、若くして欧州へ移籍して活躍する選手が多いからだ。
欧州のクラブは、所属選手が五輪本番に参加するのすら許さないことがある。
本番でもそうなのだから、予選ならなおさらのことだ。
つまり、ブラジルやアルゼンチン、ウルグアイなどは、最強のU-23代表を結成してプレオリンピコに参戦することが不可能。
したがって国内組で挑むことになるが、それで出場権を得ても問題が残る。
欧州のクラブが許可した選手を本番で使うかどうかだ。
合宿とプレオリンピコを経験し、国内組代表はチームとして出来上がっている。
そこに、能力は優れているとはいえ外部の選手を5~6名も入れたらどうなるのか。
それにオーバーエイジ枠を加えれば、もはやチームの原形はとどめない。
監督泣かせ、協会泣かせの判断を迫られることとなる。
そこで、苦肉の策としてU-20選手権を利用することとなった。
 
 
最近はFIFAが、所属選手の五輪に出場に便宜をはかるよう各クラブにお願いしているという。
そうした流れを期待してU-23プレオリンピコを復活させたようだが、まだまだ状況は厳しい。
アルゼンチンは、バチスタ監督がアヤックスやドルトムント、シュトゥットガルトなどに所属する欧州組8名を希望するも、クラブの合意が得られず召集に失敗している。
 
 
次なる手は、24年のパリ五輪予選を21年開催のU-20大会にすることだろうか。
そうすれば、出場権を得た選手が五輪に出場できる確率は高くなる。
しかし3年も前に行う予選では、世間は盛り上がらないだろう。


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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