ノルベルト・ソラーノ。
元ペルー代表のスター選手で、現在は代表コーチにして先のプレオリンピコ(五輪予選)ではU-20の監督を務めた。
その彼がまたも脚光を浴びることとなった。
理由は外出禁止令違反による逮捕。
3月27日現在、感染者580名、死者9名のペルーは、4月11日まで不要不急の外出が禁止されている。
しかしサッカー仲間や兄弟とホームパーティーを開き、大音量の音楽を楽しんでいるところを警察に踏み込まれた。
当初は、「昼食をとっていただけだ」と弁明していたが、最後は国民に向けた謝罪の手紙をSNSに挙げることになった。
 


 
 
南米諸国では外出禁止令が出されており、警察が違反者を取り締まっている。
ソラーノのような有名人が捕まる場合もあり、それはすぐにニュースネタとなる。
有名人逮捕は社会への影響が大きいので、外出禁止キャンペーンとしてはありがたい素材なのだ。
 
 
そんな中、ブラジルは外出フリー。
27日の感染者3417名、死者92名と南米断トツの数字ながら、南米のトランプと呼ばれる強硬派のボルソナロ大統領は、はじめに定めた経済優先路線から一歩もぶれていない。
サンパウロ州は独自に外出規制と部分的商業施設閉鎖を24日から行っているが、大統領はこれを無責任な政策と批判し、ただちに解除するよう訴えている。
 
 
世界的経済の落ち込みや輸入品の入荷不足の影響に対しては、中小企業向けに80億ドルの融資を実施。
金利は3.75%だが、インフレ率が高いので実質無金利のようなものだ。
そのうえで、社会の動きを止めるな、働け、遊べといっているのだ。
 
 
世界の大勢に逆らうこの政策に、疑問を投げかけるマスコミも多い。
「このままではアメリカのようになるのでは」「やがて数えきれない感染者を抱えることになるのでは」といった期初の質問を、「そんなことはない」と一蹴。
その根拠として、コロナがブラジルに入ってから数週間か1か月ですでに免疫ができているからこれ以上広がらない、というものだ。
たしかに、6割以上が感染すると集団免疫ができるという説はあるが、はたしてブラジルはそうなっているのだろうか。
大いに疑問だ。
 
 
このブラジルでもサッカーリーグは無期限中断となるなど、世界レベルでサッカー界はおよびスポーツ界はストップしている。
先週末(21,22日)にサッカーのトップレベルの試合で通常通り観客を入れて行われたのは全世界で3試合だったという。
2試合がベラルーシのリーグで、1試合はトルコの入れ替え戦だったという。
無観客ながら中南米で唯一プロリーグが行われているのはニカラグア。
臨時総会で続行が決まったのだが、全会一致ではなく反対意見もあった。
カシーケ・ディリアヘンの会長も反対派で、その意思を示すため選手にマスクを着けて入場させた。
集合写真は全員がマスク姿。
中にはマスク着用のままプレーした選手もいたそうだ。
 
※写真はイメージです。


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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