いよいよ再開したUEFAチャンピオンズリーグ。
クォーターファイナルの4試合が火曜と水曜に行われました。
1日に複数の試合があると、「どの試合を見ようかなあ」というのが
サッカーファンの楽しみであり、悩ましい所でもあると思うのですが、
水曜のカードで言うと、レアル・マドリーとガラタサライの一戦を
チョイスする方が多かったのではないかと思います。
そんな中、私はある1つのポイントを持ってその裏に当たるカードの
マラガ対ドルトムントをライブ観戦しました。
マラガを率いるマヌエル・ペジェグリーニ、59歳。
ビジャレアル、レアル・マドリーという強豪の監督を経験し、
3シーズン前からマラガにやってきたチリ国籍の名将です。
2010年の南アフリカワールドカップ後、
日本代表の新監督候補としても名前が挙がったことがあるので、
覚えていらっしゃる方も少なくないのではないでしょうか。
海外サッカー好きの方にとっては、マドリーでの失敗が
なんとなくイメージされがちかもしれませんが、
チャンピオンズリーグでは確かにベスト16敗退の憂き目を見たものの、
それでもリーグではクラブ記録の勝ち点96を稼ぎながら、
バルサが勝ち点99という未曾有の数字を挙げたために
2位という結果に終わっただけのこと。
決して悪い采配ではなかったにもかかわらず、
再登板で功を焦ったフロレンティーノ・ペレス会長の
モウリーニョ招聘に割を食った格好で解任されてしまった経緯もあります。
そこで前述したポイントの話に戻るのですが、
私は個人的にこのペジェグリーニ、
欧州でも5本の指に入る監督だと思っています。
それは決して戦力的にも資金的にも潤沢とはいえない
ビジャレアルを率いて、チャンピオンズリーグでベスト4まで進出した
“マジック”を目の当たりにしたから。
05-06シーズン、ベンフィカ、リール、マンチェスター・ユナイテッドと
強豪揃いのグループステージを首位で通過すると、
決勝トーナメントでもレンジャーズ、インテルを相次いで撃破。
セミファイナルのアーセナル戦では、
チームの完全な中心だったリケルメのPK失敗もあって敗退となりましたが、
08-09シーズンにも再び欧州ベスト8の舞台に返り咲くなど、
とにかく“采配”で勝つゲームが多い監督という印象を私は持っています。
今回の相手であるドルトムントは、グループステージが終了した時点で
“陰の優勝候補”と噂されるほどの難敵。
個人で見てもゲッツェやロイス、フンメルス、グロスクロイツなど
将来のドイツ代表を背負っていくであろう選手や、
ブンデス屈指のストライカーに成長したレヴァンドフスキなどタレント揃い。
マラガの苦戦は免れないだろうというのが大方の見方でした。
ただ、ペジェグリーニが繰り返していたのは「ゲームは180分間だ」ということ。
つまり、“前半”のファーストレグと“後半”のセカンドレグを分けて考え、
その状況状況で最善の策を講じていくと。
そして最善の策を講じることができるのが、ペジェグリーニの凄い所なのです。
何しろベスト16のポルト戦も、ファーストレグはアウェイで1対0で敗れながら、
セカンドレグはきっちり2対0で勝ち切ってしまった実績がありますから。
ポイントはペジェグリーニの采配。この1点でした。
今回の試合も予想通り、ドルトムントが一方的に攻め込む展開に。
守護神のカバジェロが幾度となくファインセーブを繰り出すなど
かなり苦しい時間が続く中、ベテランCBのデミチェリスを中心に
水際で踏みとどまり続け、時折鋭いカウンターでドルトムントを脅かすマラガ。
ほぼマラガのプラン通りに推移した
密度の濃い“前半”は結局スコアレスドロー。
ゴールは生まれませんでしたが、非常に見応えのあるゲームでした。
スコアは0対0。
アウェイゴールを許さず、アウェイに乗り込むマラガ。
セカンドレグはおそらくペジェグリーニの采配が冴え渡るのではないかと
私は勝手に大きな期待を寄せています。
1週間後のリターンマッチ。
是非このチリ人監督率いるマラガの“後半”をお見逃しなく!
写真は白い建物が目立つアンダルシアの街並みです。